18

「慌てなくてもいいよ。昨日体のサイズはチェック済みだし。バストは小さくて形がいい」


 貧乳だってことも、バレてる!


 トンッてフローリングの床が音を鳴らした。諸星がベッドから降りた音だ。


「あ、あの……」


「なに?」


「私達……何かしました?」


「私達?」


 諸星はクスリと笑った。


「類は面白いね。突然泣いたり、コテッと寝たり、夜の記憶も無くすんだ」


 うわ、最悪だ。


 やっぱり……したんだ。


 クロゼットに手を伸ばし、白いTシャツを掴む。しゃがみ込んだままTシャツを着て、ジーパンに脚を通した。


「今さら恥ずかしがらなくても。類がベッドの中で抱き着いたんだよ。だから僕は部屋に戻れなかった。昨日僕が類の部屋に泊まったことは二人だけの秘密だからね」


 ひ、秘密にしてくれるんだ。


「あ、ありがとうございます」


 襲われたのに、私、何でお礼を言ってるの。


「そうだ。類、昨日洗濯機の中に乾燥済みの洗濯物入れっぱなしだったでしょう。畳んでみんなに渡しておいたけど。色落ちする物を白い洋服と一緒に洗ったらダメだよ」


「色落ち?」


「ブルージーンズと白いカシミアのセーター。カシミアのセーターはクリーニングだよ。基本、みんなの私服はクリーニングだから。洗濯機で洗うのは下着やスウェットスーツくらいだからね」


「えっ?」


「白いカシミアは変色して縮んでしまったし、あのジーンズはヴィンテージだよ。洗うとアウト、白いセーターももう着れないな」


「す、すみません、誰の洋服ですか?」


「蓮さんだよ」


 ぎゃあー……

 な、な、なんてことを。


「謝りに行った方がいいよ。昨日類がビールを飲んでバタンキューしたあと、大騒ぎだったんだから」

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