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「俺は鳴海零士、二十八歳。錦織類、今日から君のことは類と呼ぶから。スタッフ同士の親近感を高めるためだ。人事部の手違いとはいえ、暫くは同じ屋根の下に住む仲間だ。ようこそ、beautiful magicへといいたいところだが、暫くの間だけ頼む」
「はい」
鳴海零士、髪は黒髪短髪。目はキリッとしているが、整った顔立ち、鼻も高く唇は薄く魅力的だ。
「鳴海店長、乾杯しましょうよ。類の歓迎会なんだから」
「捺希、お前は自分より後輩が出来て喜んでるみたいだが、誰も歓迎してねぇけどな」
「蓮さん、そんな意地悪言わないで。仲良くしましょう」
諸星はグラスにビールを注ぎ、みんなに配った。まるで女の子みたいな気配りだ。
「鳴海店長、乾杯の音頭宜しく」
「じゃあ、類を歓迎して、乾杯」
無理矢理だな。
取り敢えず、みんなとグラスを合わせる。
「蓮さんも自己紹介したら? 蓮さんは店で一番人気なんだよ。Rー18だけど」
「Rー18!?」
「オトナ女子専門ってこと」
諸星に言われ、香坂は一気にビールを飲み干した。
「俺がコイツに言うことはなにもない。使えないやつは会社から去れ、それだけだ」
香坂蓮、髪は緩やかなパーマ。明るめの茶髪は少し長め。目は二重で大きく唇はふっくらとしてセクシー。
こんな意地悪な男が、店で一番人気だなんて世の中の女は見る目がない。
「広島のエステサロンにいたエステティシャンが、東京の商品部に異動だなんて、完全にリストラ予備軍だろ」
「蓮さん、それは言い過ぎだよ」
三上が優しくフォローし、香坂のグラスにビールを注いだ。
的を得た言葉に、私は何も言えない。
どうせ私は、リストラ予備軍ですよ。
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