13

「僕は店に戻る。今夜は類の歓迎会だからね」


 歓迎されてないのに、歓迎会だなんて。

 気まずいにも程があるよ。


「夜には全員戻る。それまで掃除宜しく」


「はい」


 諸星が家を出たあと、ヘナヘナと床にへたり込む。


 二十畳ほどのリビングダイニング、このゴミ屋敷をなんとかしないと。


 負けてなるものか。


 私はむんずと立ち上がり、荷物を部屋に置き、キャリーバッグからエプロンを取り出す。ゴミ袋片手にリビングに散乱するゴミの分別を開始した。


 一体いつからためてるの。

 もうカビが生えてるよ。


 得体の知れぬ生物が発生してるかも。


 それにしても、カップ麺の容器が目立つ。


 美男の主食はカップ麺?

 栄養偏るから、あんなにイライラするんだよ。


 ゴミの分別をしていると、床にグラビア雑誌が落ちていた。


 うわ、巨乳……。


 エロいな。


 誰の雑誌?

 みんなの雑誌?


 しかし、何を食べたらこんなに胸が成長するんだろう。


 悩殺ポーズのグラドル。

 ちょっとポーズを真似てみる。


 白いエプロンに頬被り。

 右手にゴミ袋を持ち、左手には雑巾。


 水着のグラビアアイドルと同じ年だとは思えない。


 雑誌を紐でくくり、取り敢えず勝手口の外に出した。


 男子寮にきて四時間、必死で掃除した甲斐もあり、室内は本来の空間を取り戻す。


 脱ぎ散らかした洋服は、洗濯機の中でカラカラと回り乾燥中だ。


「終わったぁ……」


 ひと仕事やり終えた充実感。

 ビフォー・アフターを撮影しておけばよかった。


 思わずソファーに寝転がり丸くなる。早朝の新幹線で上京し陽が暮れるまで働いた私は、気疲れからついウトウト眠ってしまった。

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