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「店長それはマズイよ。男子寮だぜ。一応、コイツは女だ。俺はこんな発展途上の女には手を出さないけど、捺希や波瑠はわかんねえだろ」


「は、発展途上!?」


「痩せてガリガリ、胸もないし、男に触れられたこともないような天然記念物」


「蓮、いくらなんでも失礼だよ。錦織、取り敢えず寮の掃除をしてくれ」


「掃除?」


「女なんだから、掃除くらい出来るだろ。店に出すか出さないかは、君の能力をじっくり見て決める」


 私の能力か……。

 そんなのあるわけないよ。


 男子寮の掃除だなんて、私に寮母さんになれと言ってるの?


 嘘でしょう?


「人事部と相談させて下さい」


「何度も言わせるな。君に選択肢はない」


「今日美容室は待ちにまった店休日にも拘わらず、新入りのためにみんな店に集まったんだ。せっかくの休みをどうしてくれるんだよ」


「蓮、休日返上、後日代休を与える。今日は明日来店予定の予約を確認し、明日の準備をしろ」


「はいはい」


「捺希、錦織を寮に案内しろ」


「はい」


 私は諸星捺希に連れられ、beautiful magicを出た。


 諸星捺希は他のスタッフに比べ若干身長は低い。とはいえ、スレンダーで整った顔立ちは、街を歩いているだけで通行人の視線の的だ。


「beautiful magicの諸星捺希だよ。きゃあ可愛い」


 なんて声が、次から次へと耳に飛び込む。


「でもダサい男子と一緒だね」

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