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四時間も新幹線に乗り、やっと新宿まで来たのに、私の居場所がここにはないなんて……。
エレベーターに乗り四階で降り人事部に向かう。人事部の女性が私の話を聞き、慌てて応接室に通してくれた。
暫くして年配の男性が応接室に入って来た。
「これはどうも。広島の錦織類さんですね」
「……はい、あの……私はもう必要ないのでしょうか?」
「いえ、こちらの手違いです。大変申し訳ありません。実は……担当者が各部署に送る履歴書のコピーを重複して誤送付したらしく、二つの部署にもう一人の錦折塁さんの履歴書を送ってしまいまして……。さらに錦折塁さんご本人に、商品部への辞令を誤って伝えたらしく、このようなことに……」
人事部長は額の汗を拭いながら、愛想笑いをした。
「どういう意味ですか? 私はすでにリストラでしょうか?」
「商品部の部長は、今さら人事異動は認めないと騒いでいるので、大変申し訳ありませんが、あなたには本来錦折塁さんが配属される予定だった、別の配属先に行っていただくことになりました。商品部の部長の許可さえおりれば、すぐに転属しますので、配属先にはこちらから事情を説明します。それで了承してもらえなければ、暫く自宅待機ということになりますが……」
まさかの自宅待機!?
今さら広島に帰れないよ。
「わかりました。私はどこの部署でも構いません。どこに行けばいいですか?」
「配属先は、青山にある『beautiful magic』錦織さんは美容師の資格はないので、取り敢えずアシスタント兼受付でもして下さい」
「beautiful magic? あ、あの有名なbeautiful magicですか!?」
我が社でNo.1の売上実績を誇る、beautiful magic。顧客もセレブや有名人が多く、美容界でもトップレベルだ。
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