恭介と私は広島支店の主催するクリスマスパーティーで、一昨年知り合った。


 一年交際し、去年のクリスマスにプロポーズされ、私は恭介のプロポーズを断った。


『類はエステティシャンに向いてないよ。俺の奥さんにならないか?』


 恭介が嫌いだったわけじゃない。恭介のことは好きだった。当時、二十二歳の恭介と二十一歳の私は、まだ仕事も中途半端で、結婚とか考えられなかったし、自分の仕事を否定され結婚に逃げるのは嫌だった。


 プロポーズを断り、私達の関係もギクシャクし始め、『結婚する気もないのに、俺と付き合う意味はないだろ』と、恭介に言われ、私達は別れることになった。


「俺と結婚してれば、転勤にならなかったのに」


 その通りかもしれない。


 恭介と結婚していれば、私はいまもエステサロンで働いていられたのかも。


 私はエステティシャンに向いていない。恭介の言った通りだ。


「そうだね。でも頑張ってみるよ」


 泣き顔で強がっても、説得力はないね。


「保留にしてもいいよ」


「えっ?」


「あれは本気じゃない。ああ言えば類が結婚してくれると思ったから」


『付き合う意味はない』と言ったのは、私の本心を試すため?


「恭介……」


「別れて四ヶ月、俺が平気だと思った? 平気なわけない。ずっと類からの電話を待ってた」


「私……」


「俺達やり直さないか? 遠距離だけど、もう一度はじめからやり直さないか?」

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