第8話 ローナ

 どうやらローナという名前はキラキラネームというわけではなく、生まれは日本だが両親ともにスウェーデン人だかららしい。


「……なんか外国人とかハーフって憧れちゃうよな。かっこいい。」


「そうかしら? 私は純日本人の黒い髪に黒い瞳っていうのも好きだけど。」


「えー、何か外国人見かけると感動しないか?

 まぁ正直なところ顔が可愛かったりかっこよかったら髪とか眼の色って何でもよく見えるけどさ。」


「……否定はしないわ。

 どちらに、とは言わないけど。」


 あ、そう言えばここ幽霊屋敷……っていうか怪奇現象屋敷?ならさっさと出た方がいいんじゃないのか?


「とりあえずこの部屋から出るか。」


「……そう、じゃあもうお別れね。」


 ……え?


「何言ってんだ?ローナも来るだろ?」


 何言ってんだコイツ。


「……馬鹿ね、私なんてたとえこの屋敷から出られたとしても人間に戻れなかったらどうしようもないじゃない。」


「どうしてだ?」


「……だから__!」


「俺だったら友達が人形になって帰ってきたら驚くかもしれないけど、嫌いにはならないぞ?

 お前の両親も友達も、サイズが変わったくらいで嫌いになるようなやつらなのか?」


 ……そんなのは、本当に『良い』両親とか友達ではないと思う。


 ………………え、ローナ固まっちまったんだけど。

 ……はっ!まさか……!!!



「ごっ、ごめん!! ローナってぼっt」

「ぼっちじゃない! ちゃんと友達くらいいるわよ、失礼ね!!」


 よ、良かった……、地雷踏み抜いたかと思ってドキドキしちゃったぜ!


「ん、そんじゃあ何で固まってたんだ?」


「……馬鹿に気付かされるとか、最悪……」


「えっまた突然けなされた!?

 理不尽!」


「ふんっ、馬鹿に馬鹿って言って何が悪いのよばーか!」


「ええ……」


 俺の扱いが底辺になってる気がする……


「ま、馬鹿一人じゃ心配だと心配だから着いていってあげる。感謝しなさいよね。」


 まぁ確かに二人の方が心強いよな。


「おう、ありがとな!」


「__」


「? 今何て言ったんだ?」


「崇め奉りなさいって言ったの!」


「えっ」


 馬鹿は気付かない。


 少女の呟いた言葉に、

 少女の少し赤くなった頬に、


 馬鹿はまだ気付かない。


 いや、多分ずっと気付かない。





 __私の方こそ、ありがと__

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