第9話 vs鍵

「じゃあ脱出するか!

 ローナはここからどういう経路で出るのか知ってるのか?」


「知ってるわよ。」


 おお!


「どの部屋から行くんだ?

 確かそこの廊下からは俺が初めにいた部屋を除けば二部屋あったと思うけど……?」


「どっちでもないわ。

 ……って言うかこの部屋この階の他の部屋全部回らないと開かないようになってなかった……?」


「……あー……」


 そう言えばそんな事が書いてあったような……。


「……ねぇ、あの扉のドアノブが取れてるように見えるのは気のせいよね。」


 ……。


「てへっ?」


「可愛くない!!!!!!

 このゴリラが!!!!!!」


 どっ、毒舌っ!!てか失礼だな!


「ゴリラは可愛いだろ!」


「そっち!?

 百歩譲ってゴリラは可愛くてもあんたの『てへっ』は一切可愛くなかったけどね!!」


「えぇ……!?」


 渾身の『てへっ』だったのに!?


「まぁ別に私の家じゃないしいいけど……。

 それで、脱出経路の話だったわよね。」


 あ、そう言えばそうだった。


「……忘れてたわね?」


「まっ、まさか!」


 うっ、ローナのジト目がつらい……。


「はぁ……。脱出にはこの部屋のどこかにある鍵を使うわ。

 毎日場所が変わってるみたいだからどこにあるかは分からないけどね。」


「へー、じゃあしらみ潰しに探してみるか。」


 あんまり長いこと探さなきゃいけないのは面倒だから早めに見つかりますように!


 そう思いながら一番初めに目についた引き出しを開く。


「あ、あった。」


「……え?」


 ラッキー!!


「……私ここに初めて来たとき見つけるまでに二時間くらいかかったんだけど……。

 野生の勘ってすごいのね。」


「へへ、照れるな……」


「誉めてないわよ。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る