第7話 名前

「じゃあもしかして俺が聞いた子供たちの声とか血がしたたってる絵画とか動く文字とかそういうのも全部怪奇現象!?!?


 怖っ!!!」


 えっやだ!

 俺すごい怖い目にあってるじゃん!!


「そんなに怪奇現象に遭遇したのにずっと誘拐だと思ってたあなたの方がよっぽど怖いわよ。

 頭ファンタジーなの?」


「頭ファンタジーって何だよ……。

 何となく貶してるのは分かるけどさ……」


 こいつすごいさげすんだ目をしてくる……やだ切ない……。


「って、ん……?

 お前も怪奇現象じゃん!!怖っ!!!!」


 動く人形じゃん!!!


「失礼ね!さっきも言ったけど人間よ!

 今はこの姿になってるだけ!!」


「えっ寧ろそっちの方が怖いって!!」


 よくよく考えたらいつの間にか人形になってるとか滅茶苦茶ホラーじゃん!


「……じゃあ言わせてもらうけど、目が覚めたら知らない屋敷にいるのも中々怖いと思うわよ。」


 ……えっ。


「こっわっ!!!!!

 そうじゃん!!

 俺撮影とか誘拐じゃないなら何でここにいるんだよ!!こっわっ!!!」


 えっやだやだやだやだやだ滅茶苦茶怪奇現象起きてるじゃん怖い怖い怖い!


「……ねぇあなた名前は?」


「……え、俺?

 成瀬和馬だけど……」


 なんで突然……?


「今すぐ成瀬馬鹿に改名した方がいいんじゃないかしら。」


「酷い!!」


 しかも目が本気なんだけど!


「出会って十分じゅっぷんくらいしか経ってない相手にそんなに毒を吐かれたのは初めてだよ……」


「私も出会って十分じゅっぷんくらいしか経ってない相手のことを馬鹿だと確信するのは初めてよ……」


 あれ、そう言えばこいつの名前聞いてないな。


「……お前の名前は何て言うんだ?」


「よかった、あなた色々と抜けてるみたいだから名前すら訊き忘れられたまま終わるのかと思ったわ。」


 うっ、一瞬忘れてたから否定出来ない……。


「……ローナよ。

 ローナ・ワード。」


 ……え?


「苗字までキラキラネームって珍しいな。」


「あなた病院に行った方がいいんじゃないかしら。」

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