第6話 気付く
「俺がここにいるのってもしかして誘拐ではないのか?」
人形……いや、少女の話の中で一番気になったのは『ここは空き家なの!!!』という言葉だった。
初めこそ犯人が隠れられるという意図もあって俺をここに誘拐したのかと思ったが、少女の話を聞きながら考えているうちに『それなら俺が起きたとき近くにいないのはおかしいんじゃないのか?』という結論に達した。
だからこいつなら何か知ってると思ったのに。
「は?」
……この返事は酷くないか……?
「何でそんな『何言ってんだコイツ』みたいな顔するんだよ!」
「……ここってね、時々外の人が
まぁ大体の人はここを通らないし、それでも何とかこの屋敷から逃げ出しているみたい。でもまぁ今はそんなことどうだっていいわ。」
へぇ、時々人が拐われてくるのか。
拐われて……拐われて!?!?
何なんだその意味の分からない現象!!
そうつっこもうと思ったが、少女の目が『黙って話を聞け』と言っている。
正直怖い。
すみません、大人しく話を聞きます。
「それで、拐われてきた人たちは大抵この部屋からでも聞こえるくらいの悲鳴をあげるのよ。
なのに金属音とかは聞こえても全く悲鳴が聞こえてこなくて変だと思ってたけど、まさか、まさか……!!」
話しながら何故か少女はわなわなと震えている。
どうしたんだ?
「ずっと誘拐だと思ってたわけ!?!?!?」
ヒエッ!!!
「ビックリした……突然大きな声出すからすごいビックリした……」
「え、あ、ごめんなさい。
……じゃないわよ!
馬鹿なの!?」
馬鹿って……酷いだろ……。
「でも怪奇現象なんて起きなかったぞ?」
「……じゃあ訊くけど扉の隙間から見えるあの鎧は?」
「あぁ、あのカッコいい甲冑か?」
「……鎧でも甲冑でもいいってさっきも言ったけどまぁいいわ。
とにかく廊下に転がってるやつは?」
……俺は甲冑だと思うんだよな……。
不服そうな顔をしていると少女の目が
『さっさと答えろ』と訴えてくる。
なんでさっきから機嫌悪いの!?
怖いから落ち着いてくれよ!
「あれは
いや~、持ってるのって真剣だから格闘技習ってなかったら危なかった。」
「馬鹿なのね。」
「え。」
最早この少女の中では馬鹿だと確定したらしい。
泣くぞ。
「リモコンなわけないでしょうが!!
何がどういうことになったら襲いかかってくるよろ……甲冑をリモコン操作だと思うのよ!!!」
あ、甲冑って呼び方に合わせてくれた。
「でもさっき実際に……」
「怪奇現象だって言ったわよね、言ったわよね!?」
……あれ?
確かに言われてみれば、撮影だとしても誘拐だとしてもリモコン操作の甲冑が真剣持って襲ってくるのはおかしい……?
じゃあ本当に……!?
「えっ甲冑が勝手に動いて襲いかかってくるとか滅茶苦茶こえーじゃん!!!!!」
「遅い!!!」
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