第4話 VS人形

 俺は今、非常に驚いている。


「いっ……たいわね!

 押し戸を確認もせずに思いっきり開けるとか何考えてるのよ!!」


 ……?

 目の前で涙目になりながら俺を睨むのは金髪碧眼の可愛らしい___________人形。


 ……一旦落ち着け、俺。


 ……だめだ、何回見ても人形だ。

 手の平サイズだ。


「最新型のペッ○ー君か……?」


「誰がペッ○ー君よ!!

 意味分かんないこと言ってないで謝りなさい!」


「えっあっ、ごめん。」


 驚きすぎて謝るの忘れてた。

 そうだよな、今のは確認もせずに開けた俺が悪い。


「頭大丈夫か……?」


「はぁ!?」


 あっやべ、この言い方だったらそりゃあ怒られるよ。


「違う違う、ぶつけたから!」


「……あぁ、そういうことね……。

 すごく痛かったけど別に大丈夫よ。

 すごく痛かったけど。」


「ごめんって……」


 滅茶苦茶怒ってるよこの子……。


「って言うかこのサイズだから頭だけじゃなくて全身強打したのよ?


 なのに謝りもせずに第一声が『最新型のペッ○ー君か……?』とかふざけてるにも程があるわよね?

 挙げ句の果てには『頭大丈夫か』とか……」


「……本当に……すみませんでした……」


 こうやって冷静に聞くと俺やべぇな。

 人間として最底辺だよ……。


「ふん、分かったなら許してあげる。

 寛大な私の心に感謝しなさい。」


 こっ、こいつ……!!

 なんて、なんて_________!


「なんて優しいんだお前!

 全身強打させられてペッ○ー君とか言われて更には『頭大丈夫か』なんて言われたのに許してくれるなんて……!

 俺だったらぶちギレてるよ!

 寛大な心すぎる……」


「なっ、何よ!

 そんな誉められても……別に……」


 ?

 顔真っ赤だな。

 人形なのに風邪とか引くのか?


 あれ?

 俺何か忘れてるような……?


「って何で人形が喋ってんだ!?」


「遅っ!!

 普通もっと早く触れるところでしょそこは!」


「いや、ぶつけたことに謝ってたら忘れた。」


「忘れるようなことじゃないわよね!?」


「今俺が忘れたんだから忘れるようなことなんじゃないのか?」


「普通の人間は忘れないわよ!」


 ……そんな俺が普通の人間じゃないみたいな……。

 ……え、俺普通だよな?

 そんなに変な自覚はないんだけど……。

 ん?

 あれ??


「オイ待て、喋って動く人形が普通を語るのか……!?」


 少なくともそんな人形よりは変じゃないだろ!


「うっ、確かに……。

 ……でも私だって、元々人形だったわけじゃないんだから。」


 いじけたような顔をしながら、少女はゆっくりと事情を語り始めた。


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