第3話 VS扉

 部屋に入るためにドアノブをひねろうとするが、何故かいやにかたい。


 錆びてるのか?


 ……なめるなよ。

 見た目ではあまり分からないとよく言われるが、筋トレやらが趣味と自称するだけはあって中学でのあだ名が『ゴッドゴリラ』だった俺の筋力は同世代の男の中でも中々のものだと自負している。

 因みに春に行った体力運動能力調査での握力は76kgだ!!


 多少錆びててもこの扉を開けるくらい造作もな______!



 バキッ



 あ。

 ……鍵が、かかってたのかぁ。

 …………てへ?



 あれ、よく見たら扉に『ここを開けたくば残り二つの部屋で鍵を探せ』って書いた紙貼ってあるじゃん。


 ……ま、なんかドアノブ壊した勢いで扉開いたし結果オーライ!



 ……ん?

 あれ?

 今気付いたけどよく考えたらおかしくないか?

 だってドッキリだったとしたら真剣しんけんを振り回したりしないよな…?


 …………じゃあこれってまさか……。


 誘拐!?!?



 よくも宿題を残してきた俺を誘拐しやがって……!

 ゆるさん!!!!!


 一発ぶん殴ってやる……!


 誘拐犯を必ず痛い目に会わせると心に誓った俺は、勢いよく扉を開けた。


 ■


 和馬は気付かない。


 誘拐だとしても刀を持った甲冑が襲いかかってくるのはおかしいということにも、そもそも誘拐だとしたら始めに聞こえた子どもたちの声が何だったのかという矛盾にも。


 まだ、馬鹿かずまはホラーに気付かない。


 ……いや、そもそもこの調子では気付ける気がしない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る