転校生4
「あんたたちって本当にアホ同士で、仲が良いって感じが伝わってくるわね」
「俺の方はアホじゃないけど、仲が良いっていうのは間違いない。俺らを繋ぐ友情ってものは最強レベルだ」
幸長が答えたが、前半の方は僕の台詞だ。幸長はアホだ。後半は……、うん、幸長らしいアホさ加減が滲み出てる。まあ、幸長が言う通り仲が良いのは間違っていない。
「はあ、全く理解できないわね」
「お前は男じゃないからな」
呆れる歌凛に幸長は、男同士の友情というものを熱弁し始めた。
僕は幸長と歌凛のやり取りを眺めながら、少し前の歌凛の発言について考えていた。歌凛の言っていた通り、昔の僕に比べて今の僕は変なのかもしれない。
作文を書いたあの日、僕は自分の夢について精一杯考えた。
夢というものは成長するにつれてころころ変わる人もいれば、変わらない人もいる。
僕の場合は前者に近いが前者ではない。昔はなりたいものがあったのだが、成長するにつれ、自分がどうしてそれになりたいと思っていたのか忘れてしまうほど冷めてしまった。そしてどんな職業にもときめかなくなっていた。
月の約束 那須梨 @sudumouri
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