転校生2
「幸長は知ってたの?」
僕は隣に立っている幸長が転校生の情報を知っているかを確かめた。歌凛は全員知っているみたいな口ぶりだったし。
「当ったり前だろ。てゆーか俺がその情報を手に入れて、クラス皆に広めたんだし」
だったらその情報、僕にも教えろよ。僕もクラス皆の一員だ。凄く知っておきたい情報ではないけど、自分だけ知らされてなかったというのは少しムカつく。
「だってお前、普段携帯使わないからメール送っても見ないと思うってアドレス教えてくれなかったし。それより、さっきの歌凛の説明には大事なところが抜けているんだ。それは、なんと転校して来る子は…………オンニャノコらしいぜ」
「へー、そうなんだ」
僕の期待を膨らませるために勿体ぶって言い方をしたのだろうが、本当にどうでもよかった。男子だろうと女子だろうとただのクラスメイトというのには変わりないし、多分そこまで係ることもないだろうし。
「って、おい! お前のそのリアクションなんだ。冷めてんな。女の子だって言ってんだぜ。もっと喜べよ。そんなんだから友達が少ないんだよ。そんなコミュニケーション不足じゃ、この国際社会を生きていけないぜ」
「僕はあえてコミュニケーションを取ってないだけだ。別にたくさん友達が欲しいと思ったことないし、友達なんてたくさんいても、結局よく遊ぶのは決まったニ、三人だろ。なら、残りの友達はそいつの友達多いっていうステータスにされるだけだ。そもそも根本的な話、転校生が異性だからって喜ぶ人ってそんなに多くないと思う」
他人にどう思われようがあんまり気にするタイプではないのだが、幸長に馬鹿にされるのはムカつくので弁明しておいた。
「いやいや、田中なんて女の子が来るって喜びのあまり奇声上げてたぜ。正直ヤバかった」
それは田中がヤバいだけだと思う。というか、田中ってそんなキャラだったんだ。よく知らんが印象に残ってないからてっきり大人しい奴かと思ってた。
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