第20話いとこと俺とデートと

結愛ゆめが来て一緒に朝を過ごすのは5日目だった。


昨日は結愛から連絡が来てすぐに俺は家に帰ったが、

特に何か聞かれるわけでもなく結愛はすぐに寝てしまった。

俺は結愛が家に居るまでは咲良さくらの告白に関して考えるのをやめた。


「おはよ。」

今日は俺の方が早く起きて朝ごはんを用意した。

目玉焼きとベーコンとパンとサラダをパパッと準備してベランダでタバコを吸っていた。

結愛が起きるのはかなり早いので先に起きるのは凄く大変だった。

「…おはよぉ。」

結愛は俺を見て慌てて立ち上がった。

「えっ!今何時!?朝ごはん作るね!」

急いでキッチンの方へ向かおうとしてる結愛を見て、

「もうできてるよ。今日は出かけるから急いで食べるぞ。」

そう言うとポカーンとした顔で机の上の朝食を眺めてた。

「コーヒーと紅茶どっちだ?とりあえず顔洗ってこい!」

「…紅茶。」

結愛は洗面所に顔を洗いに、俺は飲み物を用意しに行った。


2人でご飯を食べていると結愛から質問がきた。

「なんで起こしてくれなかったの?今日どこに行くの?急ぐってどう言う事?」

結愛から沢山の質問がきて、俺は昨日会ったわたるの顔を思い出した。

「お前そんなに一気に質問すると嫌われるぞ。」

「だって…。」

鼻で笑いながら答えた。

「起こさなかった訳ではないぞ、起こそうとしたが先に結愛が起きたんだよ。」

「今日どこに行くかはとりあえず内緒だな。まーでも動きやすい格好でお願いな。」

せっかくこっちに来たんだからと昨日の帰り道に咲良に念を押された所に連れてこうとしていた。

「うーん。教えてよ!って言ってもどうせ教えてくれなそうだしなぁ。」

「よくぞおわかりで。」

「でも急ぐってまだ6時前だよ?」

「まーそうだな。でも食べて準備したら行くぞ!」

「…うん。まぁ分かったよ。」

納得いかない顔をしながらも結愛は承諾してくれたのでご飯を食べて準備をする事にした。


俺はほとんど準備を終えていたので朝ごはんの食器を洗っていた。

「ねー、何持ってけばいいーの?」

お金は用意してるし、何かあった時の為の物は大抵俺のリュックに入っているので、正直結愛は手ぶらでもよかった。

「スマホさえあればいいんじゃない?!」

「本当に大丈夫なのー?」

「荷物にならなきゃなんでもいいって。」

結愛は一人で「どこに行くかわかんないから何持ってけばいいかわかんないよ。」とかブツブツ言いながらも準備をしていた。


家を出て最寄り駅まで歩きながら、俺は予備のICカードを結愛に渡した。

結愛の地元だとICカードを使うまでもないので結愛は持っていなかった。

「使い方はわかるか?」

「流石にわかるよ!」

怒られた。

「余分にチャージはしてあるから自由に使ってな。」

「ありがとう!」


1時間半と少しの間電車に揺られ、目的地にたどり着いた。

結愛は目を輝かせて俺の顔と目的地を交互に見た。

「まじ!?」

「まじだよ。」

某夢の国に到着した。

「いつチケット買ったの?」

「昨日のうちに買っておいたんだよ。」

「ありがとー!ずっと行きたかったの!」


結愛は俺に抱きついてきた。


結構長いあいだ抱き着かれたので、俺は払いのけ言った。

「抱きつくのは構わないけど、早く行くぞ!」

「うん!!」

凄くにこやかな顔で言われ、俺はそのまま手を引っ張られた。

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