第19話いとこと俺と告白と

俺は突然の出来事に頭が追いつかなかった。

落ち着く為にいつも入れてる右ポケットからタバコを取り出した。

「…カラかよ。」

咲良さくらの家からすぐのコンビニにタバコを買いに行った。

ここのコンビニは咲良と付き合ってた時によく使っていて、俺と咲良の共通の友人が働いている。

絡まれるとめんどうなので中にいないかを確認して入った。


無事に鉢合うことなくタバコを手に入れ、『来月撤去予定です』と貼紙の貼られた灰皿の前で火をつけた。

タバコを吸いながらほんの少し前の出来事を思い出した。

『ねー!ゆう!私とまた付きあってよ!』

咲良はしっかりとこう言って告白をしてきた。

今まで普通に友達としていたのに不思議でしょうがなかった。

確認を取る為に、スマホで咲良の連絡先を開いた。

「いや、やめよう。」

直接確認をするべきだと思い画面を閉じた。


「何をやめるんだ!?」

「……!」

俺は急に誰かに話かけられ驚いた。

「久しぶりだな!優!」

「…ハァ。あー久しぶりだな。」

彼は先程説明した俺と咲良の友人のわたるだ。

「なんで溜息つくんだよ?何で居るんだ?で、何をやめるんだ?」

そう、俺が会いたくなかった理由はこれである。

こいつはいつも一気になんでかんでも質問をしてくる。

「お前いい加減直せよ!その質問癖。溜息が出た理由はそれだよ。」

キョトンとした顔で航は話し始めた。

「聞かなきゃわかんないだろ?で何で居て、何やめるんだ?タバコか?」

また無駄な質問が増えた。

俺のダーツの練習相手にもなってくれるし、話も聞いてくれるので、悪い奴ではないが、ただ単にめんどくさい奴だ。


「咲良を送り届けたんだよ、ここに来る理由はそれしかないだろ。あと今タバコを吸ってる俺がタバコをやめる訳が無いだろ!」

「それもそうだな!で、何をやめるんだ?」

「お前には関係無い事だよ!」

心の中でめんどくせぇなと思ったが、案外ガラスのハートの持ち主なんで、口には出さなかった。

「そーか。……飯食いに行かね?」

「また今度な。ゆ…、いとこが家で待ってる。」

結愛ゆめが待ってると言いかけ、どちらかと言うと女の子らしい名前で、女の子だとばれるとまた話が長くなりそうなのでいとこと言い換えた。

「優、いとこいるのか!?いくつなんだ?」

少し情報を提示するだけですぐこれだ。

「それもまた今度な!!じゃーな。」

航とは家の方向が違うので2人は別の方向へと歩いた。

航と会うと家が近くでなくて本当に良かったと毎回思う。


俺と咲良の家は1時間もかからずに着く距離にあった。

プルルルルッ

結愛から電話がきた。

「お兄ちゃんまだ帰ってこないの?咲良さんから無事に着いたよって連絡来たよ?」

思えば航と会い、タバコを3本程吸っていた。

「…めんどくさい友達と会ってな。」

「なにそれ?早く帰って来てね!」

「あー。風呂でも入って待っててくれ。」

「もう、入ってまーす。」

「…おう、そうか。」

さすがにうちにも慣れて来たみたいで行動が早い。

「お兄ちゃん何かあった?元気ない?」

「いやそんな事はないと思うが?」

「ふーん。まーいいや、早く帰って来てね。」

そう言われ電話が切れた。


「急いで帰るか。」

(少し何かあった事にきづかれてたから気をつけよう)

咲良の件はなるべく考えないようにする事にした。

明日はどこかに結愛を連れてこうと思い、俺はいろいろと考えながら家に帰る事にした。

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