第17話いとこと俺と料理と
結愛が買い物に行ってしまい久し振りに咲良と2人きりになった。
最近では、共通の友人と何人かで遊ぶ事はあるが咲良と2人きりになる事はほとんどなかった。
「今日はなんで来たんだ?」
俺はようやく1番聞きたかった質問をした。
一昨日いきなり咲良が来ると言ってきたのですごく気になっていた。
「たまには一緒に遊びたかっただけだけど?」
嘘だ。
咲良が嘘を言う時、何かを隠してる時は大抵、左手で前髪をいじる。
今回もその動作があったからすぐにわかった。
「なんで嘘をつくんだ?」
咲良は俺を見て笑いながら言った。
「あはは、バレたかー。なんですぐ見破られるかなぁ?」
ずっと一緒に居たからすぐに分かる。
俺が初めて咲良の嘘に気づいた時は、咲良が1人でご飯を食べてる時に『寂しくないのか?』と聞いた時に『もう慣れたよ』と前髪をいじりながら言った時だ。
「それで本当の理由はなんなんだ?」
もう一度問いただした。
「結愛ちゃんが優の事どう思ってるのか知りたかった。」
俺には全く、その答えがよくわからなかった。
結愛が俺の事どう思ってるかなんて咲良には関係ないはずだ。
そもそも結愛はただのいとこだ。
「それで、どう思ってるのか分かったのか?」
答えの意図は掴めなかったが俺は聞いた。
「うん、なんとなくね…」
「そうか。」
「えっ?そうかってそれだけ?」
「別に結愛が俺のことをどう思ってようが関係ないからな。」
誰にどう思われてても俺はどうでも良かった。
「まー咲良が聞きたい事聞けたなら良かったんじゃないか?長野から一人で来てて友達も知り合いもほとんど居ないから、遊んでやってよ。」
女の子同士の方が話たい事も話せると思いお願いをした。
「うん、もちろんだよ!」
「ありがとな。」
結愛が帰ってきた。
「ただいまー」
「「おかえりー」」
俺は結愛の持ってる袋の持ち手に手を掛けた。
同時に結愛の手が伸びて来た。
パチン
「ダメ!!!!
お兄ちゃんは触らないで!」
「分かったよ。でも叩く事はないだろ。」
結愛はすぐに台所に行き食材を慣れた手つきでしまっていった。
「結愛ちゃん、私何か手伝う事ある?」
台所に咲良が顔を出した。
「じゃー食材洗って皮とかむいて下さい!」
「分かった!」
「あとお兄ちゃんは絶対に台所に入れないで下さい!」
咲良は疑問に思った。
「ん?どうして?」
「お兄ちゃんがやると早すぎて追いつけないんで。」
「なるほどね!」
手伝わせてもらえず暇な俺はタバコを吸ったり、掃除をしていたが、咲良が来る前に掃除もしたので本当に暇をしていた。
「お兄ちゃん、起きて!」
俺は結愛に揺すられていた。
「ご飯出来たよ!」
どうやら俺は寝ていたみたいだ。
結愛が来てからいつもと違う生活で疲れていたらしい。
テーブルの上には料理が並べられていた。
「おーうまそうだな!」
長野県の郷土料理の山賊焼きと野沢菜、肉じゃがが並べてあった。
「結愛ちゃん手際良すぎて、全然手伝えなかったよ。」
「そんな事ないですよ!咲良さん手伝ってくれてありがとうございます!」
結愛と咲良は一緒に料理をしてより仲良くなっていた。
「よし!食べるか!」
「「「いただきます!」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます