第14話いとこと元カノと

『ガチャ』

「…。」

結愛ゆめちゃん私に聞きたい事あるんでしょ?」

咲良さくらが家を出たゆうを確認して結愛に言った。

「はい。お兄ちゃんとの事を聞きたいです。」

「優とはさっきも言ったけど今は友達だよ?」

「まだ好きなんですか?」

「好きだよ。私がフラれたからね。」

「えっ?」

結愛は咲良がフラれたと聞いて驚いた。

「あいつ過去にいろいろあったらしくてね、彼女はやっぱり作らないってさ。」

「過去?何かあったんですか?」

咲良は一度うつむき結愛に言った。

「それは本人に直接聞くものじゃないかな?」

「…そうですね。」

少し沈黙が続き咲良が口を開いた。

「結愛ちゃんはさぁ、優の事好き?」

「もちろんです!」

すごく自信満々な結愛を見て咲良わ笑った。

「それは、いとことして?異性として?」

「…。」

咲良の問いに結愛はすぐには答えられずにいた。


「今日はね、結愛ちゃんに優の事聞きたくて来たの。」

結愛は首を傾げた。

「優ってさ、どういうやつだった?」

少し考え結愛は答えた。

「優しいお兄ちゃんです。ワガママも聞いてくれて、何か嫌なことがあったら話も聞いてくれて、ずっと優しいお兄ちゃんです。」

「そーね。私も同じかな。」

また沈黙が続き、今度は結愛が言った。

「咲良さんは、お兄ちゃんのどこが好きなんですか?」

初対面でもガンガン話す結愛を見て咲良は、

「結愛ちゃんすごいね人見知りとかしないんだね。」

「…ごめんなさい。」

「ううん、いいの。お兄ちゃんの事好きなんだね。」

結愛は少し恥ずかしくなり下を向いた。


「私がまた優と付き合ったら嫌?」


咲良にそう言われ結愛はよくわからない気持ちだった。

「私は…。」

時間がどんどん経ち、エアコンの音だけが部屋には流れていた。

「ごめんね。いじわるしたね。優呼び戻そうか。」

咲良が申し訳なさそうに言うと、


「私は…、よくわからないんです。」


咲良はきょとんとした。

「私、よく告白はされるんです。」

「そ、そうなんだ。」

「でも、分からないんですよね。あまり男の人と話さないし。」

「それは付き合うってのが分からないの?」

「恋愛感情がわからないんです。」

咲良は優を取られるのは嫌だったがアドバイスをした。

「一緒にいて落ち着く、この人のここがいいとかじゃないのかな?」

「…。」

「もしね、優にあるなら考えてみたら?」

結愛は小さく頷いた。


「じゃあ退屈してるかもだろうし、呼び戻そうか。」

結愛は頷き、咲良は電話を掛けた。

『プルルルル』

「戻ってきていいよー」

「おい。追い出しといてそれはないだろ」

「まぁまぁ。」

「了解、何か必要な物あるか?」

「んーじゃあアイス買ってきて。」

「ん。了解!20分位で戻るよ。」

『ツーツー』

電話が切れた。

「アイス買ってきてくれるって!」

「お兄ちゃん優し過ぎですよね。」

「ホントね。」

優の優しさは2人ともずっと思ってた事だった。

「優は、私達だけじゃなくて他の人でも同じだよね。」


「咲良さんは何を見ました?」

「ん?」

「お兄ちゃんの優しさです。」

咲良は少し考えて結愛に話した。

「全く知らない子が熱中症で倒れててね、優はすぐに駆け寄って助けたの。」

「周りに人はいたんですか?」

「うん。みんな見て見ぬ振りで…。タクシー代も出して家まで送っててね。」

「うわっ。そこまで。」

「うん。後で優に聞いたの、なんでそこまでするの?って」

「そしたら?」

「それが俺にとっての普通の事だからって。」

「お兄ちゃんらしいですね。」

「困ってる人を助けるのがほんとは当たり前だと思うけど、優は簡単にやっちゃうからね。」

結愛は意外と咲良と普通話せて嬉しかった。

「結愛ちゃんは?何かあるの?」

「私は…、」

『ガチャ』

結愛が話を始めようとすると扉の開く音がした。

「この話はまた今度だね。」

「そうですね。」

2人はいつのまにか仲良くなっていた。

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