第13話いとこと俺と元カノと

今日は咲良さくらが来るので早めに目覚ましをかけ起きた。

結愛ゆめ、起きろ。」

「んーまだ眠いよー。」

「はぁ。今日友達来るんだって言っただろ。掃除しなきゃ」

「掃除?いつもお兄ちゃんしてるじゃん。」

「だからそれを朝やるんだよ。」

新しい布団で気持ち良さそうに寝てる結愛を見てると、俺まで眠たくなってきそうだった。

「ほら、早く!」

結愛の両手を持ち体を起こさせた。

「おはよぉ」

「あーおはよう、顔洗って来い。」

結愛は洗面所へ向かった。

「さてやるか!」

俺は掃除は嫌いではなくどちらかと言うと好きな方だ。

汚い物を見ると綺麗にしたいというよりは、綺麗な家に帰りたいから汚したくないのである。

だから暇さえあれば掃除をしていた。

「はー、一家に1人お兄ちゃん欲しいねー。」

「何バカな事言ってんだ?泊めてんだから手伝えよ。」

「はーい。」

結愛は適当な返事をして掃除を手伝った。


「でもさー、掃除できて料理できて完璧だよね。」

完璧な訳がない。

そもそも掃除も料理もやろうと思えば誰だってできる事だ。

それをやらないからできないとか言うのは違うと思う。

「お前もできるだろ。」

「でも、私お兄ちゃんみたいにできないよ。やっぱり一家に1人お兄ちゃんだね。」

(まだ言うか!!)

「俺は1人しかいないだろ!」

「そーだね」

笑いながら結愛は言った。


そんな会話をしていると掃除が終わった。

『ブーブー』

咲良から連絡が来た。

『12時頃行くからよろしくー。お昼あれば嬉しいな。』

図々しいやつだと思いながら時計を見た、もう11時過ぎだった。

結愛は昼ご飯の準備をしようとしていた。

「結愛、一人分増やせるか?」

「うん、カレーだし大丈夫だけど。」

「ありがと助かる」

俺は咲良に『了解!』とだけ返事をして結愛を手伝った。


『ピンポーン』

多分咲良だろう、俺はお手洗いに入っていたので、

「結愛、多分友達だから鍵開けてやって!」

「わかったー。」

「お邪魔しまーす。」

そう聞こえ咲良が来たのがわかった。

「トイレ入ってるから適当にくつろいでてくれー」


お手洗いから出ると無言の2人が居た。

結愛は下を向いてむすっとしている、それに対して咲良はニコニコしながら結愛を見ていた。

「お兄ちゃんちょっといい?」

「あーいいけどなんだ?」

結愛に外に呼び出された。

「女の子だって聞いてないんだけど!?」

「言ってなかったか?」

「聞いてないです!」

「そうか悪い。」

「どーゆう関係?」

「自己紹介ついでに説明するから中入るぞ。」

そう言い中に戻った。


佐々木咲良ささきさくらです。よろしくね」

荻野結愛おぎのゆめです。」

「結愛ちゃん可愛いねー」

「お兄ちゃんとどーゆう関係何ですか!?」

いきなりすぎる質問を結愛はぶつけた。

「んー、元同級生で元カノ?って感じかな。」

正しい答えだが誤魔化しを入れて欲しかった。

「今は?」

「今は普通に友達だよ?」

「好きなんですか?お兄ちゃんの事。」

本人目の前にして思い切った質問をするので、俺は慌てて

「とりあえずご飯にしようよ!!」

「そうだね!結愛ちゃんごめんね質問は後でたくさん聞くよ。」

結愛も冷静になりご飯の準備を手伝ってくれた。


食事中は誰も喋らず沈黙が続いた。

食事を終えて俺は咲良に聞いた。

「今日は何の用があって来たんだ?」

「特に用は無いけど?」

「は?いとこ来てるって言ったんだから今度でもいいだろ!?」

「んーまー、しいて言うならいとこちゃんと話にかな?」

結愛は咲良の言った言葉にすごく驚いた顔をした。

「だからここは女の子同士にさせてほしいな?」

俺は結愛を見て

「と、言ってるがいいのか結愛?」

「…う、うん。」

そう返事をするので俺は財布と携帯とダーツケースだけ持った。

「じゃー話終わったら連絡してくれ。」

「わかった!」

咲良がそう言うので、俺は家を出た。

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