第12話俺と過去と2
『プルルルル』
「おー久しぶり。」
「久しぶりじゃないよ!
「今はネカフェに居る。」
「何があったの?話聞くからがっ…、うちに来て!」
学校にと言おうとしたんだろうが、気を使ってくれた。
「わかった。」
「すぐにね!」
俺は咲良の家へ向かった。
『ピンポーン』
すぐにドアが開いた。
「入って!とりあえず座って。」
言われた通りに俺は動いた。
咲良の家は両親が忙しくほとんど1人暮らしだった。
「なんで学校に来ないの?何があったの?」
「…。」
「優、話してよ。」
何を話すべきなのか分からなかった。
「…家出をした。」
「どうして?」
咲良は俺から話すのを待っていてくれた。
「母親ともめてね。」
「学校やめるの?」
「わかんない。とりあえず俺行くよそれだけだから。」
「えっ、ちょっと待って!居なさいよ。」
「は?なんで?」
「泊めてあげるから。」
「いや、そーゆー訳には。悪いよ。」
「悪いと思うなら家に帰りなさい。」
家には帰りたくなかったので、泊めてもらおうと思った。
「…ごめん。お願いします。」
何日か過ぎ、咲良には全てを話した。
「そんなの母親としてどうなの!?」
「俺に言うなよ。咲良の家だって帰らないだろ。」
「私は1人だし何もないけど、優の家は違うじゃん。」
弟と2人の面倒をみてる事に怒っているのだろう。
誰にも話せなかった事を聞いてくれて俺は嬉しかった。
「でも、これからどうするの?」
そう言われ何も考えていなかったから俺は言葉に詰まった。
「…わからない。」
『プルルルルプルルルル』
「誰?」
「父親。」
「出るの?」
俺は頷き、電話を取った。
「優!お前どこに居んだ!?」
「友達の所だけど…」
「とりあえずうちに来い!」
それだけ言って電話が切れた。
「お父さんなんだって?」
「うちに来いって」
「行くの?」
咲良に何日も泊めてもらう訳にもいかなかった。
「男同士だからとりあえず行ってみる。」
「…そう。」
咲良は少し寂しそうに言った。
「ありがとな。」
「ううん。こちらこそ。」
言ってる意味がわからなかった。
俺は準備をして家を出た。
「優!」
「なんだ?」
「…ちゃんと学校来てね。」
俺は何も言わずに父の家に向かった。
父の家に着き怒られると思い入った。
父は何も聞いて来なかった。
「何も聞かないの?」
「話したければ話せ。」
重い空気に中俺は言った。
「母親と縁を切りたい。」
「学校は?」
「関わったもの全て切りたい。」
「お前がそれでいいなら俺は止めないけど。」
案外あっさりしていた。
「そのかわりに向こうのいとことは会ってやれ。」
意味がわからなかった。
「なんで?」
「お前が気に入られてるからな。」
「それだけ?」
「それだけだが?」
よくわからなかったが俺は承諾した。
何日かぶりに俺は学校に向かった。
何人かの友達に、
「久しぶりじゃん!」
と声をかけられた。
俺はすぐに職員室へ向かいやめる事を伝え職員室を後にした。
そのまま帰ろうと下駄箱はへ向かったが、咲良に見つかった。
「優!ちゃんと来たんだね!」
「一応な。」
「良かった!また後でね。」
それが俺の高校での最後の会話だった。
咲良にはしっかりと伝えるべきかもしれないと思ったが言えなかった。
2年後に咲良と再会するとは思いもせず。
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