第7話いとこと俺と寝床と

渋谷から家に帰り、結愛ゆめのファッションショーが始まった。

何着か洋服を買ってあげていたので、嬉しそうに着替えていた。

結愛から「どう?」等感想を求められるが、特にわからないので、

「いいんじゃない?」「似合ってるよー」と適当に答えていた。

「まじめに答えて!」とか言われるが、わからんものはわからん。


前に咲良さくらとこんな会話をしたなと思い出し約束も思い出した。

「そういえば、明後日家に友達が来るから!」

「えっ?私どうしたらいいの?」

「いる事は言ってあるから普通に家いて大丈夫だよ」

「わかった!」

めんどうだったので咲良の説明を省いてしまっていた。


今日は仮眠だけでなれない街を練り歩いたのでかなり疲れていた。

俺は少し布団で横になった。

「あっ!」

「何?どうしたのお兄ちゃん?」

構ってもらえず1人ファションショーを続けていた結愛が言った。

「お前の寝るとこ確保してない!」

仕事があった為寝る時間が違ったから忘れていた。

家に誰かが泊まる事などなかったのでもう一式布団などなく、

「今日は遅いから俺はソファで寝る、明日買いに行くから。」

「別に一緒に寝ればいいじゃん」

それだけは駄目だと俺は思い強く結愛に言った。

「いや!駄目だ!」

「なんでよ…」

「駄目なのは駄目だ!」

「わかったよ。」


『グウゥゥゥゥ』

お腹がなった。

思えば今朝からご飯を食べてない事に気付いた。

結愛はパンケーキとかタピオカを飲み食いしていたが、俺はあまり好みじゃなかったので食べていなかった。

「ご飯につくろうか?」

結愛は言ったが、冷蔵庫に大したものがないのは知っている。

「いや、今日は俺が作るよ。」

「えっ!ほんと!やった!」

立ち上がり俺は冷蔵庫を見に行った。

卵に結愛が朝ごはん用で買ってきてくれたベーコン、あとは野菜。

(よし、まー作れるな!)

冷凍してストックしてあるご飯を温め、その間食材をいいサイズに切り、なんやかんやでオムライスを作った。

「結愛ー。デミグラスとケチャップどっちがいい?」

「オムライス?ハンバーグ?デミグラスがいい!」

聞いといてなんだが、めんどくさい方選んだなと思いながら、

「わかった。」

デミグラスソースを作り始めた。


「やった!オムライスだ!」

結愛は嬉しそうに笑った。

「お兄ちゃん、なんで料理しないの?」

また同じ質問をされた、

「食べてくれる相手がいないからじゃないか?」

今までは弟に料理を作ってあげていたが、1人になって料理をしなくなった。

俺は人に料理を作ってあげるのが好きなんだと思った。

「私、高校卒業したらお兄ちゃんの料理食べに来る!」

「気使うなよ。たまに遊び来る程度でいいよ」

「私が来たいだけなんだけどなぁ…」

「なんか言ったか?」

「ううん、なんでも。」


ご飯を食べ終え俺は結愛に聞いた、

「明日はどうするんだ?特に行きたい所なきゃ俺はダーツ行くけど。」

「ダーツ?ダーツバーって事?」

「そうだけど?」

「私はいいかな、大人っぽい所でしょ?」

「別にそうでもないけどね…。結愛が行きたい所あるなら連れてくぞ?」

「明日は大丈夫。東京の人の多さに疲れちゃった。」

無理もない、結愛が住んでる所はご近所さんが全く近くない。

「わかった、じゃあ昼間は必要な物でも買い足しに行くか!」

「うん!じゃー晩ご飯作って待ってるから、なるべく早く帰ってきてね!」

「21時から22時までには帰るようにするよ。今日は疲れたし寝るか!」

「そうだね、おやすみお兄ちゃん」

今日から休みを取っていて良かったと思い俺は硬いソファで横になった。

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