第6話いとこと俺と制服と
「なんで制服持ってきてんだよ。年相応の格好だな。」
制服を着た
「可愛いねとか言ってくれないの?」
「あーはいはい可愛い可愛い。」
「気持ち込めてよ!」
寝起きでめんどくさいなと思い軽く流した。
「で?どこに行きたいんだ?」
「えっ?あーえーとー…」
どうやら行き先は決まってないらしい。
「おい、決まってないなら俺寝るぞ?」
「待って!…原宿!原宿行きたい!」
オタクの俺にとって無縁の地だ。
正直言うと、原宿、渋谷、池袋とかはあまり行きたくない。
だが、結愛を一人で行かせる訳にもいかないので、
「…あーいいぞ、じゃー着替えて準備しろ。」
「私、このまま行くよ?」
「まじか、まーいいか。」
制服着たJKと歩くのは何か嫌だったが、今回だけだと思い決意した。
最寄駅に着き、原宿までの行き方を何度か打ち間違えながらスマホで検索した。
夜勤明けでまだ疲れが抜けていない、
「結愛、新宿で起こしてくれ。」
「いいよ!結愛の肩貸してあげる!」
「別にいらんわ!」
そんな会話をしているうちに電車が着た。
平日の昼間だけあって電車はガラガラだったので助かった。
俺は一度眠りについた。
『次は新宿、新宿…』
車内のアナウンスで俺は目を覚ました。
結愛は隣できょろきょろとしていた、
「どうした?」
「この車両席が全部埋まってる!」
「だから?」
「長野じゃこんな事ないなって…」
そんな事で驚いてんのかと思いこの先心配になった。
確かに地元では電車に人が乗ってる方が珍しい、向こうだと圧倒的に車の方が多いからだ。
それでもテレビとかで観ないのか?と思ったが電車の事なんてテレビでやってないかと1人納得した。
「あと…」
結愛がまだ何か言いたそうにしている、
「あと、お兄ちゃんよく起きれたね…。」
少し引き気味で言われたので、
「東京の人はみんなこんなだよ!」
と堂々と嘘を教えた。
乗り換えをし原宿に着いた。
「…うわっ。」
俺は駅からすぐの竹下通り見て呟いた。
結愛はすぐに俺の腕を掴んできた。
「迷子になるなよ!」
「う…うん…。」
そう言いゆっくりと歩き始め。
少し経つと結愛は目を輝かせながら歩いていた。
あまり俺は並びたくなかったが、タピオカやチーズドッグとやらに並んだ。
俺にはなんでこれらが流行ってるのか理解できなかった。
原宿を満喫して近くだから渋谷に移動する事にし、竹下通りをまた戻るのは嫌だったのでタクシーに乗ろうとしたその時。
「お兄さん、どこ行くの?」
警察に呼び止められた、特に後ろめたい事もないので正直に答えた。
「渋谷ですけど?なにか?」
「女子高生連れてタクシーで?」
「いとこなんですけど?」
結愛が隣で何度も首を縦に振っている。
「ごめん、ごめん最近いろいろ多いから気になってね!足止めて申し訳ないね。」
「いや、大丈夫です!行ってもいいですか?」
「大丈夫ですよ!」
タクシーに乗り結愛が聞いてきた、
「警察の人が言ってたいろいろって何?」
援交とかとは言いづらく、
「いろいろはいろいろだよ。」
と誤魔化した。
渋谷に着くとお手洗いに行きたいと言うので待っていた。
15分位経ち少し遅いなと思いお手洗いの近くまで探しに行ってみたが、なかなか見つからない。
すぐに電話をし結愛の着信音が聞こえ、音のなる方に歩いていると、
「可愛いね、1人?」
と声をかけられている結愛を見つけた。
すぐに走って向かい、
「ごめんなさい、連れなんで!」
と男に睨みつけるように言った。
男は舌打ちをし去って行き、結愛が俺に抱きついてきた。
「大丈夫か?一目があるから抱きつくのはやめてくれ」
そう言うと結愛は俺を見ながら、
「初めてナンパされた。」
助けてやってんのにそれはないだろと思い、
「次あっても助けないからな!」
「ごめーん。助けてくれてありがと!お兄ちゃん!」
それから帰るまでずっと俺の手を握りしめ一度たりとも離そうとはしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます