第5話いとこと俺とお出かけと
今日、仕事が終われば有給を取っている。
ようやくゆっくり出来ると思っていたが、
そんな事を考えながら仕事を進めていた。
仕事中、
「昨日、いとこが泊まりに来たんだけど。」
「ほー、いくつ?」
「高1だよ」
「男の子?」
「いや、女の子」
「は!?」
「え?」
「いや、あんたいくつよ!」
咲良は少し声を大きくして言った。
俺は指を1本立て自分の口に押し当てた。
「どう考えても一人暮らしの男の家に高校生の女の子はまずいでしょ。いつまで泊まる予定なの?」
「1週間って言ってたけど?いとこだよ?まずい事か?」
「年頃の男と女の子が1つ屋根の下ってまずいでしょ」
「昔からの仲だから妹みたいなもんだよ。別に欲情なんてしないわ」
「当たり前でしょ!」
お客さんが来たので、俺と咲良は会話をやめて仕事に戻った。
仕事が終わり事務所で俺は着替えていた。
シフトを確認している咲良が声をかけてきた、
「
「いや俺もいとこが来るの知らなくて、たまたま休みと被っただけ。」
「そうなんだ。私は明後日から休みだから、明後日優の家行くからよろしく。」
「あー了解。…いやなんで?」
「なんでじゃない!とりあえず行くからよろしく!」
それだけ言って咲良は帰って行った。
(さー俺も帰るか!結愛も待ってるし。)
そんな事を思っていると事務所のドアが開いた。
「石田さん、咲良ちゃんすごくニコニコして帰ったけど、よりでも戻した?」
朝勤務している主婦の方だ、
「いや別に戻してませんけど?」
「あらそうだったの、お疲れ様!」
少し残念そうな顔をしながら仕事に戻って行った。
帰りながら考えていた、咲良が家にくるなんていつ以来だろうと。
咲良とは別れた後もよく遊んでいたが、流石に家に行ったりする事はなかった。
咲良はどちらかと言うと、モテる方でよく告白されてる話を聞いていた。
俺と別れてから2年は経つが、誰かと付き合った話は聞いた事はなかった。
いろいろと考えてるうちに家に着いた。
『ガチャッ』
「ただいまー」
鍵を開けた音で結愛が走って来た、
「おかえりお兄ちゃん!」
「別に出迎える必要はないんだけど?」
「いいじゃん別に…ごはん出来てるよ!早く座って。」
「おう、ありがと」
荷物を置いてイスに座ると、すぐにごはんを並べてくれた。
(今日は魚の煮付けときんぴらごぼうか)
「結愛、お前何時に起きてんだよ!?」
時間のかかる料理だと見てわかったので口調を強めて聞いてみた。
「5時くらいかなー?」
いつも7時頃に家に着くから確かにそのくらいに起きれば作れる料理ではあったが、俺が気にしていたのはそこではなかった。
「朝ごはん作ってくれるのは嬉しいけど、無理して俺の帰りに合わせるなよ」
「別に無理なんてしてないけど?私が食べて欲しいから作ってるだけだもん!」
「いやでもさ…」
俺が喋ろうとしたら結愛が言った。
「私がいいならそれでいいの!冷めちゃうから食べて」
「わかった。いただきます。」
「はい!召し上がれ!」
結愛が来てから主導権握られたままだ。
ご飯を食べながら気になった事を訪ねてみた、
「野菜と米はこないだ届いたからあるけど、他のやつはどうしたんだ?」
「来た時に買って来たよ?もうないけど」
「いくらだ?」
「え?」
「いくらしたんだ?」
「えーいいよー別に」
「いや、作ってもらってるだけで助かってるのにそれは駄目だ!」
「だって泊めさせてもらってるし」
結愛は意地でも言わないので、財布から1万円を出し結愛に渡した。
「おこずかい兼ねて!」
そう言い結愛に受け取らせた。
「うーん…。ありがと。」
納得いかないようだが俺は無視をした。
ご飯を食べ終えカレンダーを見ながら遠慮がちに結愛が言った、
「お兄ちゃん今日から休みだよね?お昼過ぎでいいから行きたい所あるんだけど…」
「おういいぞ、夜勤明けだから少し寝てからな。12時頃に起こしてくれ!」
「うん!ありがと!」
俺は一旦眠りについた。
12時前のアラームの音で目を覚ました。
「おはよ!どう?」
目の前には制服を着た結愛が居た。
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