第4話 再会
一人の女性が手紙に目を通している。
女性がいる部屋は、手紙やら書物やらが散乱している、所謂書斎のような部屋であった。
そして手紙を置き、眼鏡に手をやった。
「まだまだ仕事が残ってますね」
誰に言うのでもなく独り言を呟く。
そこに一人の男――軍服を着ていて厳つい顔つきをした――が入ってきた
「ユラ様、遂に見つかったそうです!」
男が誇らしげに言う。決して男の手柄というわけではないのだが。
「遂に見つけましたか。久し振りにお会い出来ますね……お姉様……」
満足したかのように息を整え、男に告げる。
「この部屋に連れてきて頂戴。そして、誰も入れず、二人きりにして頂戴」
「はっ、仰せのままに」
この国には山ほど問題があった。革命軍の残党兵、テロ、難民、新興宗教……。ざっと数えただけでもこのくらいはあった。
これらを片付けるのがユラ――この国の副大統領――の仕事だった。
最も、これは逆から見ると、これだけの敵がいるという国という証左だが。
「入れ!」
男の声がする。
「言われなくとも入るさ」
今度は女の声。
「副大統領閣下がお話しがあるそうだ。二人きりでとのこと。済まないが手の縄は外せない」
「構わない」
そして女が入ってくる。
「お久し振りです、お姉様……」
ユラが話しかけたその先には。エメラが立っていた。
「ユラ……? ユラなのか!?」
お互いに取っての尋ね人との十年ぶりの邂逅。
再開にしては息苦しいが、二人の間には十年振りに巡り合ったという、尋常ならざる空気が流れていた。
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