第7話

今日も休みだった。

というか休みにしてもらった、この前の事は僕にとってショックが大き過ぎて当分立ち直れそうにない。

だって、木本は僕がこの仕事を受ける事になった要因でもあり、木本の代わりと考える事で今まで乗り切ってきた。なのにその木本まで軍に入るなんて……木本が言ったように確かに今までの僕は木本を僕が守っているなんていう意識を持っていたのかもしれない。

だがそれを奪われたら僕は何の為にあんな事をしなきゃいけないんだ。

休暇だが僕は何もする気は無かった、ただ部屋の隅でうずくまりひたすら同じような事を考えていた。

そんなとき、チャイムが鳴った。

誰とも合いたくなかったので、無視していたが、ドアは勝手にガチャリと空いた。そのままづかづかと入ってきたのは、市川さんだった。市川さんは僕を見つけると、わざとらしく驚いた顔で、

「おぉ!いるじゃねぇか!仕事サボったんだって?俺と同類だな!」

そう言って僕の机前にある座布団にドカッと座った。

そして暫し沈黙が流れた。いつも、市川さんは僕から悩みを言うのを待ってくれる。

「市川さん」

「どうした?」

待ってましたと言わんばかりに、市川さんが食い気味に返事をした。

「僕、この仕事をやってるのは、あるものを守る為だったんです。だけどこの前それが無くなっちゃって……」

言っていて泣きだしそうになった、だけどこれ以上市川さんの前で恥は書きたくない。

「守る為……か」

市川さんは顎をさすって考え出した。ひげの剃り残しが手に合わせてジョリジョリと音を建てる。

「何かを守る為に仕事をする奴はうちにもいる、ついてこい」

そう言うと、市川さんは僕の腕を掴み、半ば強引に連れ出した。引っ張られて付いたのは基地内の食堂だった。

ここでは、色んな部署の軍人が出入りしているため、割とガヤガヤしている。

「ほら、あそこでネズミ肉揚げ丼食ってるゴリラだよ」

そう言って市川さんは指を指した。指の方向を追ってみると、その先には肌の黒い、全体的にゴツい人が座っていた。



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拷問少年 白鷺人和 @taketowa

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