第6話
今日は休暇になった。
僕の仕事はそんなに多く来るものでもないし、僕は兵士では無いから訓練に参加する必要もない、だから休暇は多くなるそうだ。
僕は一人ベッドの上でボーッとしていた。
休暇をもらってもすることは特に無いし、
市川さんに慰められて多少気持ちは落ち着いたがあの気持は完全に収まってはいない、そのせいで気分が晴れず、何もする気にもなれなかった。
だがかと言って何もせずに休暇を終えるには勿体ない気がした。
「買い物にでも行こうかなぁ……」
そう言ってゆっくりと立ち上がる。
僕はササッと着替えて、財布を持って基地の近くにあるスーパーに向かった。
秋が近づいている事もあって、外は若干涼しい。秋空を眺めながら進んでいると、いつの間にかついていた。
ここのスーパーには、基地の近くということもあって、軍人に重宝されている。今日も休暇の軍人が数人来ていた。
自動ドアが開き、まだ夏が抜けきれてない中から、ヒンヤリとした風が吹く。
僕は買い物カゴを取り、野菜を数種類入れた後、肉コーナーに行った。
肉コーナーには虫と肉が一緒に置かれている。
「今日はどっちにしようかなぁ……」
僕は虫とネズミ肉を手に取って、どっちを買うか数分悩んだ。虫は安いが肉の食感としてはネズミのほうが良い、だけど虫よりは高いんだよなぁ。
まぁこれからは給料入るし、気にしなくていいか。
僕は虫を元の場所に戻してレジに行った。
少し高かったがまぁ良いだろう。
頭が働かず、またボーッとしながら帰っている時、基地の前に見慣れた人影があることに気づいた。木本だった。
木本は近づいてくる僕に気付くと、最後に会った時と同じように睨んできた。
「よお、梶原」
「なんで木本が…ここに居るんだ?」
俺が休暇だからといって普通の人は休みでは無い、木本も今日は学校の筈なのだ。
「ある事を伝えるために休んできたんだよ」
木本は依然として僕を睨みつけている、口調も冷ややかなものだ。
「俺さ、防衛大付属高校ってとこに行く事にしたんだ」
僕は凍りついた、何故なら防衛大付属に行くという事は、将来的に軍人になるという事になる。木本は徴兵を免れる為に帝王大付属に行こうとしていた筈なのに。
「何で!?お前は軍人にだけはなりたく無いっていつも言ってたじゃんか!」
「それはお前も一緒だっただろう」
僕の必死の問いかけを、木本一言で切り捨てた。
「どうした?思い通りに行かずに悔しいか?
友達を見を呈して守る自分格好良い、何て思ってたんだろ?そうは行かねぇ」
僕は木本が何を言っているか理解できなかった。いや、というよりかは、理解したくなかったんだと思う。
僕が頭の整理をしている間に、木本は去っていった。
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