第2話

翌日、渡された地図に記載された場所に向かった。

やっとの事で到着したそこには、

石の壁に金属の板で、「陸軍第5基地」と書かれていた。

門のすぐ奥には、加藤大佐が数人の部下を連れて迎えに来てくれていた。

「おぉ!来てくれたか!良かった良かった。えーと、なに君だったかな?」

「梶原啓太って言います宜しくお願いします。」

「そうだったな、梶原君、基地内を案内するからついてきてくれ」

陸軍の大佐が、今日来たやつの案内を直々にするのか?僕の立場ってどんな感じなのだろうか。

その後、僕は加藤大佐についていって基地内をまわった。

あと分かったのは、軍人だからという理由もあるのかも知れないが加藤大佐の歩く速度が凄く早い、という事だ。ただ基地内をまわっただけなのに、それだけで息切れしてしまうくらい。だが説明は懇切丁寧で、割と施設の殆どのことは頭に入った。

「えー、最後にここが、君の仕事場だ」

ここが…僕の仕事場……?

そこは、南京錠で閉じられた鉄扉があり、ひび割れた石壁でおおわれた、少し鉄分の匂いがする小屋だった。

「君にはここである重要な役割をしてもらう」

加藤大佐は鉄扉にかけられた鍵を外しに苦戦していた。鉄扉の南京錠はだいぶ錆びついてるようで、鍵穴に鍵が刺さりにくくなっていた。

普段は使われて無いのかな?

やっとの事で南京錠が開いた。

すると、中から言い表せない程の鉄分の匂いが漂ってきて、思わず後ずさりしてしまった。加藤大佐に促され、中に入ると。

中は床も壁も石壁が丸出しで、所々変な形に黒い跡のようなものがついていた。

「あのー、ここで何をすれば?」

「……そこの黒い跡をよく見てみろ」

僕は、疑問を持ちながらも言われた通りに黒い跡に顔を近づけよく見てみた。

すると、鉄分の匂いがここから漂ってきていて、そして僕はそれの正体に気がついた。

血のあとだ、黒く変色した血のあとだ!

僕はそれに気付いた瞬間、「ひゃあぁ!」っていう情けない叫びを上げて尻もちをついた。

「これは、一体……?」

「この部屋の血はすべて敵軍から捕獲した捕虜のものだ」

え…?て言うことは僕のここでの仕事って…

「梶原、お前には明日から捕虜への尋問、そして捕虜に情報を吐かせるための…拷問をしてもらう」


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