第5話 敵前逃亡しても、相手が強ければいいよね!

ダンジョンそれは、冒険者に対し牙をむく命なきモンスター。


 中に入れば至るところからモンスターが湧き出し襲いかかり、行く手を阻むトラップの数々に体力を削られ、無限に続き出口さえわからなくなり削られる精神。


 反面、豪華な宝が眠るハイリスクハイリターンの冒険…………そう思っていたんだ。








「ギヤァァァァァァァァァァこっち来んな、近寄るな!」


 何故か今犬に追いかけられている。


 一応言っておくが別に俺は犬が嫌いと言うわけではない、とゆうか今追いかけてきてる犬は厳密には犬ではない、ただ愛くるしい毛並みに4本尚の足、まるっとした可愛い目玉に凶悪そうな犬歯むき出しの…………スライムです。






 ― ―少し前






 今、冒険に出てると思うと少しワクワクしている気持ち半分、しくじると死んでしまうとゆう恐怖が混ざり複雑な気持ちになっていた。


「カオル! 今から冒険に出かけるんですよ何暗い顔してるんですか」


 よっぽど冒険が好きなのだろうか、あのガタイの良い男がフユを脅し泣いていた姿など見る影などなく、まるで今から遊園地に出かける子供のような無邪気な顔をしていた。


 何より驚くのは普通は動きやすい服装をするものだが、フユの服装はウェイトレスのまま、更に丸腰だった。


 うん、きっと魔法かなんかを使うんだろう、そうゆうことにしておこう。




「なぁ冒険って行ってもどこに向ってるんだ?」


「当然ダンジョンです! ここからだと歩いて2時間位のところに存在するんですよ!」


 なるほどダンジョンか……俺の知ってるとおりのダンジョンなら上手くやれば、そこそこの稼ぎにはなる。


「そのダンジョンってどんなダンジョンなの?」


「いたって普通のダンジョンですよ、お宝眠る上手くやれば5000万なんてすぐにでも集められます!」






 フユはその時にはもう目をキラキラに光らせていた。


「あー、ここから少しモンスターが出てきます。ここからは慎重に行きましょう」


 その場所は今まで歩いて来た道とは違い、そこからは全く舗装されていなかった。


 冒険とゆうわりにはモンスターが出てきてり、罠が張ってあったりするわけではなく、今までは平和に進んでこれたせいか、こんなことを言われても現実味はなかった。




「そんな大袈裟な、実はあんまり危ないところとかないんでしょ?」


「そんなこと言っていたら、命を落としかねませんよ。ここはスライムがたくさん出てくるんですから」


 自分が持てないあまりにも重く持てないものを、持って移動することができるのにスライムを警戒するさまと比べる微笑ましく思い、気がつくとさっきまでの困惑した気持ちは綺麗さっぱり無くなっていた


 とゆうか、さすがのナイフしか使えない俺でもスライムくらいにだったらなんとかなるよ。




「なに、笑ってるんですかホントに危ないんですよ! わかってるんですか!」


 スライム程度に何ヒビってらっしゃるのかこのウェイトレスは、そんなゲームでも最序盤の雑魚どこが恐ろしいのか…………




 「ん? あれなんだ?」


 そこには何かが動いているのか、カサカサと葉っぱが揺れていた。


 とうとう来てしまった。初めてのモンスターの遭遇……


 葉っぱはまだカサカサと揺れているが、その揺れはしだいに大きくなっている。


 緊張感の中、俺はそっとナイフをポケットから取り出した。



 そして、とうとう姿を表した。


「ワン、ワン」


 犬だ、前の世界でどこにでもいた普通の犬が飛び出してきた。


「なんだよただの犬かよ、焦って損した」


 生まれて初めて見るモンスターと思いきや普通の出てきたのは普通の犬、拍子抜けにも程がある。 


「まって下さい。まだ安心するのははや」






 なんと愛くるしいことか、その可愛らしい犬に見とれてしまい我慢できずに、その犬に手を延ばしていた。


 なにかフユが言ってるが今は犬に触れモフることで頭がいっぱいだった。




 犬の頭に手を触れ優しく撫で回すと、キャンと愛くるしく鳴き声をあげる。


 たまらない、この感覚たまらない、次いつ来るか分からない獣をモフる時間今は最高に堪能しよう。


「シャー」




 急に聞いたこともない鳴き声をあげた。


 えっ…………シャー? そんなことを発する犬がいるのか、そこは異世界ってことで少し特殊なのか。


 撫で回されていた犬を見てみると、犬歯をむき出し敵意を全開にしていた。



 どうゆうことだと考えると時間なく素早い動きで襲いかかっていた


 その光景があまりにも恐ろしく本能的に俺は逃げだしていた。


「どうゆうことだよ、モンスターって野生のことかよ。野犬ってあんなに凶暴なのかよ」


 犬は恐ろしい形相で追いかけてくる、その姿はもう可愛さのあった中型動物ではなく、地獄をどこまでも追いかけまわすケルベロスのよう。




「カオルなんで、逃げているのですか。あなたに渡したナイフは何なんですか、それを持って戦うんです!」


 そんな戦えと言われても…………


 しかし犬は距離を少しずつ詰めてきてきている。


 追いつくのも時間の問題かよ!


 覚悟を決めて後方にナイフを投げた。 





「よし、やったか」


 思ったがつかの間後ろを振り返ると顔にナイフの刺さったまま追いかけてきている。


 もう怖いよ、完全にホラーじゃん。 





 しかし何故だ血は流れていない。


「どうゆうことだよ、フユあいつ顔にナイフ刺さってるのに血流してない」


「あなたはスライムの倒し方を知らないんですか、いいですかこうやるんですよ」


 スライム? どうゆうことだよ。



 しかし、驚くことはそれじゃない。


 それはどこから取り出したのだろうか、何故かフユは大剣を手に持ちその瞬間犬、もといスライムを一刀両断にしたのだ。



「あの…………2つほど質問いいですか」


「どうぞ、なんでも答えますよ」


 今、目の前で起こった頭が混乱している。 




「ます、その大剣はなんですか?」


「あぁ1番軽いくて扱いやすい大剣ですよ」


「いや、どっから出してきたの?」


「普通にアイテムボックスですよ」




 さも当たり前のようにはっきりと言ってきた。


 アイテムボックス?そんなチート俺は知らない。


「どこでそんな物を習得できるのでしょうか」 


 頭の回転が追いつかず知らぬ間に敬語になっていた。




「ギルドに入れば普通に取得…………あっすいません人が増えたことで喜んで手続きしてませんでしたね」


 もうツッコミたくない…………


「そう……ですか……じゃあ、あの犬がスライムってゆうのは?」


 正直これが一番の謎だ。



「スライムっての元々、他のモンスターに食べられてしまったり踏まれてしまうことで絶滅の危機に瀕したんですが、突然変異で擬態ができるようになるスライムが誕生しそれ以降、様々な物に擬態して生存競争を勝ち残ったモンスターなんですよ」




 ハハ、この世界どこかおかしいわ。


 モンスターがたくましいわすぎる。


 俺、安全にいこうと思ってたのになんで、こんな事してるんだろう。


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