第2話 早朝
俺はついさっき見た夢の内容を『夢日記』に書き留める。俺には見た夢を記録する習慣がある。
何故かって?そんなもの何となくだ。
この世に生きる者のやる事成す事の全てに理由があるとは俺は思わない。
だから所詮此れも只の気紛れだ。
夢の内容を書き終えた俺は着替えを済ませ、朝食の準備に取り掛かる。
昨晩漬けておいたマグロの切り身を小ぶりの皿に盛り付け、お米を炊く。
炊けたお米を茶碗に盛り、キャベツを千切りにし、薄くみ空色に色付いた皿に盛り、手作りのドレッシングを回し掛ける。
簡単だが朝食には少し豪華で美味そうなものが出来上がった。
「お早う、琴音(ことね)くん」
まだ早朝だと云うのに鬱陶しいくらいに明るい声で誰かが俺を呼ぶ。
俺は声のした方に目も呉れずに返事を返した。
「お早うございます四条(しじょう)さん朝から〝無駄に〟元気ッスね」
「琴音くん酷いっ!」
元気が1番なんだよ!と俺の背後であーだこーだ云って騒いでいる彼は俺の先輩。
高身長で容姿端麗、綺麗に整えられた山葵色の髪。鋭い承和色(そがいろ)の瞳。人前での振る舞いは紳士的だ。だが、親しい友人等に対しては少し煩わしいくらいしつこい妙ちきりんな人だ。
「ねぇねぇ琴音くぅーん、俺もうお腹すいた〜早く出して〜…」
「今出すからちょっと待ってください」
「はーい」
朝食の催促をする己の先輩を軽くあしらって用意したものを食卓に運び食事の準備に取り掛かった。
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