03


話は変わるけど僕が死んだのは大学二年の春だった。


大学の中庭に咲いた大きな桜の木が葉桜に変わろうとしている時に、背中から誰かに刺されて死んだ。


大学の構内にいたから、周りに人が沢山いたとおもうんだけど、誰が僕のことを刺したのか、警察にもよくわからなかったらしい。


僕が死んでから誰が僕を殺したのかわからないなんてあるんだなって、死んでから初めて知ったけど、今ではそんなもんなのかなって思ってる。それでもね、死んだ時はとても不思議に思ったよ。流石に。だって殺されて死んだから。


色々思い当たる節も考えてみたけど、地元の中高一貫校に入学して、部活に励み、引退後の夏休みで偏差値を無理やりあげて少し背伸びした大学に入って一年目は無難にサークルで遊び倒し、これからだという時に刺されて死んだってだけだった。


あっけのない人生の終わり方で。これからもあっただろうし、でもこれ以上もないだろうと思っていた時に僕は死んだのだと思う。


それが簡単な僕の、死後の感想だ。


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