第123話「BFC」


 シュピナーゼが少年のところにやってきたのは数日前の事であった。


 夜、一人自身の研究室で寝ていたら、いつの間にか上に乗っていたのだ。


 ちょっとだけ、緋祝姉妹の時を思い出してビクッとしたのも束の間。


 少女は約束通り、楽しい事を見付けて来たと得意満面に少年を誘った。


 何処へ行くのだろうかと着替えた少年の手を取って、彼女はすぐに転移してみせ……夜中の東京へと繰り出す事になった。


 最初に出たのは新宿付近のビル屋上。


 世界は多くが暗闇に閉ざされていたが、それでも都市の一部は未だ100万$の夜景くらいにはなりそうな輝きの洪水。


 それを一緒に見ていた少年はしばらくすれば、また共に手を握られて転移し、様々な夜の東京のスポットを巡る事になった。


 公園、神社、夜のプラント。


 無人の劇場らしき場所に入れば、シュピナーゼがデカデカとポスターになっており、ようやく少年は日本で少女がアイドルをやり始めた事を知った。


 劇の舞台に上がって二人切り。


 何故かセキュリティーが停止した一角で少女は少年と潜水艦で約束した後の事を話してくれた。


 世界中を回った事。

 愉しい事を見付けて連れて行こうと思っていた事。


 日本では出会った人にアイドルをやってみないかと誘われ、楽しいのならとやってみた事。


 アイドルの友達が出来た事。


 何故か自分が“不思議ちゃん”という徒名になった事。


 甘いものや美味しいごはんを食べた事。

 愉しそうな遊園地で踊って歌った事。


 大勢の人が歓声を上げる中で友達が歌って踊るのを見ていると楽しかった事。


『ウチ、凄く楽しかった……ベルはんもしよう?』


 そう言って、一人劇場の舞台で大勢に褒められた歌と踊りを教え始めたシュピナーゼは正しく楽し気に少年をレッスンした。


 一緒に踊って、歌も教えて貰った少年はそれから―――朝が来る時間まで少女に付き合い。


 感謝を告げてから仕事に向かうから帰らねばと告げて。

 少女はならばまた今度と少年と再び会う約束をせがんだ。


「ベルはん。歌うの上手やね」


「いえ、術師として呪いの一環ではあるので。子供の頃、母に習ったんです」


 劇場の最前列に謡い終わった少年が一息吐いて座る。


 いつの間にかタオルが少女の手には握られており、差し出されたそれで汗を拭った時。


 こんな風に疲れるのは中々無い事だとベルは気付く。

 元々、あまり汗を掻かない方だ。

 身体も冷たい方だ。

 まぁ、動く死体なのだから、当然ではあるだろう。

 元々、冬は極寒、夏は乾いた森の出。

 何かを張り切って身体を動かすという風習は無く。


 どちらかと言えば、極力消耗しないように生きるような因習のある出生地であった。


 だからか。


 生れて始めて、こんなに生存以外の為に踊ったり、歌ったりという事をしたかもしれない。


 近頃は傍らの少女達と普通に文化的な娯楽を愉しむようになったのだが、主体的に身体を動かしたりする事は無かった。


 ゲームやら映像作品やら卓上で見たり、聞いたりはしていたが、その当事者になるというのは本島に新鮮な事に違いなかったのである。


「ふぅ……」


 踊り疲れて少し息を吐いた少年にシュピナが何処から取り出したものか。


 スポーツドリンクのペットボトルを手渡す。


「ありがとうございます」

「ベルはん……ベルはんが付きおうてくれて……ウチ……」


 楽しかった。


 そう優しく目を細めて言おうとした少女は不意に顔を上げる。


「どうかしましたか? シュピナさん」


「うん……帰らんとならんの。だから、また……ウチと……」


「はい。また、呼んで下さい。シュピナさんが良いと思える時に……出来る限り、お答え出来るようスケジュールは調整しておくので。あ、コレ」


 少年は持って来ていた小さな指輪を差し出す。


「これ……なに?」


 受け取った少女が不思議そうに指輪を摘まんで、照らすライトに翳す。


「僕が管理するチャンネル間を通して直通する通信用の魔術具です。いつでも出られるわけじゃありませんけど、何かあったら呼んで下さい」


「ぁ……」


 少女が大事そうに指輪を抱きしめるように胸元でキュッと握り締めた。


「ありがと……ベルはん……」


 少年がその様子に喜んでくれたようで何よりだと首を横に振る。


「いえ、前に僕がいない時、アフィスさんが来ていたと言っていた事があったので……夜、眠っている時間帯なら大抵はお答え出来ると思いますから、何か無くても悩み事や相談事があったら掛けて来て下さい。出られない時もあるかもしれませんけど、出来る限りは出られるように心掛けますから……」


 頷いた少女が二コリとしてから頷いて。


「あのな? ウチ、今度はベルはんとゆーえんちに行きたい。お友達の子が楽しいって教えてくれてて……」


「分かりました。次に会う時は……あ、でも、夜は開いてないかもしれませんね。お休みを貰えるようになったので土日に予定を組みましょう。行きたい週に連絡してくれれば、予定を組んでおきますから……」


「うん!!」


 そうして、二人が内部でのレッスンを切り上げ、そろそろ劇場を出ようとした時だった。


 まだ白み始めるのに少しあるだろう裏口の路地に出た瞬間。


 ドンッと二人が押される。


「おっとぉ?!」


 誰かと激突したらしいと瞬時に悟った少年は咄嗟にシュピナを抱き抱えるようにして背中をコンクリの壁に打ち付けてから、それにちょっとフラッとしつつ、路地のゴミ箱に突っ込んだ相手を見やる。


「あいたた……いやぁ、悪い事をした。ちょっと急いでいたものでね。ああ、そう言えば、此処は劇場だったか。君達、色々と時間が無いので手短に省くが、劇場の中に後1時間入っていてくれないか? ちょっと怖い人達に追いかけられていて、事情を話している暇も無い。これで1時間劇場に入っているという形で頼むよ」


 もう初老は過ぎているだろう小柄で何処か洒落たスーツに懐中時計をぶら下げた白髪の老人が何やらポケットの財布から万札をサラッと2枚ずつ差し出すと二人に握らせ、扉の中へと押し込めるようにして両手を突き出し、ガチャンと扉を閉めてから軽快な足音をさせて消えていく。


 思わず呆然としていた二人だったが、一体何だったのだろうと首を傾げて、顔を見合せる。


 そうして、これからどうしようかと彼らが唐突な出来事にまだ対応出来ていない時。


 外側からの光を入れる曇り硝子が嵌った金属製の扉の前を何かが横切った。


 その威圧感だけは少年にも解った。


 何か得たいの知れないものの形が一瞬だけ、彼らを扉越しに凝視したような感覚。


 もしも、それが一般人だったならば、あまりの緊張感に震えて尻餅を付いていたかもしれない。


「………」


 僅かな腐臭。

 何かが蠢くような音。


 ソレは二人を曇り硝子越しに見たかと思うと通路の先へと遠ざかって行―――。


「ッ」


 咄嗟に少年が少女を片手に抱えて、背後に跳ぶ。

 それと同時に扉と周囲の壁が吹き飛んだ。


 黒い何かが路地裏に質量を伴って爆発的に体積を獲得しながら、泡のように膨れていく。


 ドアをもう片方の手で弾き飛ばして背後へといなした少年が咄嗟に引き連れていた導線展開用の金属塊。


 掌に納まる程度の球体状のDCディミスリル・クリスタルをズボンから取り出して、前方に突き出し、瞬時に液状化したソレが人が入れそうな程の大きさの輪の形となって通路に展開。


 内部から瞬時に盾が前方に現れ、後方の少年の前には外套が排出された。


「シュピナさん!! あのお爺さんを此処に連れて来てくれませんか!! ちょっとだけ力を貸して下さい!!」


「はいな!!」


 少年に頼られる事が嬉しいのか。

 漆黒の泡の異形にも動ぜず。

 少女が瞬時に転移して消え去る。


 それと同時に仕掛けてきた黒い泡が通路を完全に埋め尽くそうとするものの。


 それより先に盾の広域防御形態が発動し、通路を完全に封鎖する防御方陣を展開。


 黒いソレをリングより前で堰き止める。


 合間にも少年は浮いて待機状態だった外套を羽織り、繊維に織り込まれたDCの魔力を引き出しつつ、自前の魔力を使わずに空間を超えて北米の時から使っているサブマシンガンを引き出し、装備しながらリングを球体状に戻して懐に回収。


 その合間にもまた自分の傍に転移で戻って来た少女の隣に身形の良さそうな老人がいるのを確認してから、盾よりも上に向けてトリガーを引いた。


 刻印弾が次々に選択された機能を獲得して打ち出される。


【防御方陣透過】


 自防御の内部から相手を一方的に攻撃する一撃が泡に突き刺さり、刺さった瞬間には連鎖して起爆しながら通路を埋めるソレを瞬間3000度の魔力の直接転化の熱量で焼き払って爆ぜた。


 ボボボボボンッと。


 炸裂したポップコーンが出来るよりは過激な弾丸のビートと炎が黒いソレを通路から先へと弾き出し、呆然とする老人が背後から少年に訊ねる。


「君は……一体……」

「通りすがりの騎士です」

「ッ」

「言ってる暇は無いみたいですね。逃げますよ」

「はいな♪」


 少女が楽しそうに微笑み。


 再びベルと手を繋いで転移しようとしたが、小首を傾げた。


「どうしましたか?」

「ウチ、跳べない? ん~~?」


「……解りました。もう騎士団には連絡してありますから、一緒に徒歩で逃げましょう」


 少年がすぐに老人へいつもの円筒形の魔術具。


 MHペンダントの亜種を幾つかぶら下げさせて、そのまま三人で劇場内の通路を走り出す。


 そうして、彼らが通りまで逃げ出した時。


 路地から何かを引きずるような音と共に黒い体積のある影が溢れ出した。


 それが次々に分裂したかと思うと。


 瞬時に人型らしき形を取り、ヌッと内部から迫出して正体が露わとなる。


「―――コマンドー型か。まったく、こんな小柄な老人一人に……」


 老人が何やら覚悟した様子となり、その化物達を前に気を張った様子で顔を厳めしくも哀れなものを見るようなものとする。


「善導騎士団の少年少女。悪いが君達では荷が重い。早く応援を呼んで保護して貰え。アレの目的はこの老いぼれ一人だ」


 そのまま前に出ようとした彼をベルが片手で制した。


 合間にも闇が形を以て世界に顕現する人型の威容が露わとなっていく。


 一体は頭部無き巨体。


【アーム】の肉体を二倍程まで肥大化させて、光沢のある金属塊を肉体全てにベリットで打ち付けたような装甲のゾンビだった。


 白い腐肉と装甲が絡まりながら動く様子は何処か滑っており、その装甲の青黒い質感に少年が瞬間的にディミスリルの類だと看破する。


 その背後にいるのはまるで烏のような嘴を象った古の医者を思わせる黒いベリットで止めた鋼のマスクに青白い隆起した肉体を持つゾンビだった。


 頭部の無いゾンビよりは小さいが、その両手には何やら手の甲の部分に穴が開いた籠手ガントレットのようなものを付けており、その内部からは煌々として緑色の輝きが溢れ出し、腰布らしき襤褸切れが陰影を刻む。


 更にその奥の虚空には黒い人体の骨格のみを抽出したような物体が浮遊しており、関節部は金属製の球体とベリットの混合物で固定化されている。


 繋がっている様子は無いのだが、その骨なのか別の何かなのかよく分からない漆黒の骨格標本はアサルトライフルらしきものを所持している。


「悪いですが、日本人が怪異に襲われているなら、助ける事が善導騎士団の団員には義務として課されてます。逃げられないようですし、此処はその輪の中から出ないで下さい」


 いつの間にか。

 少年の背後。

 老人は自分の脚の先に輪が浮かんでいる事に気付く。


「シュピナさん。跳べるようになったら僕の部屋までその人を。その後は此処に近寄らないようにして下さい」


「ベルはん。大丈夫?」

「はい。一応、鍛錬とか訓練とかは詰んでるので」

「うん。気を付けてな」


 少女はコクリと頷いて老人の袖を握った。


「無謀だ。奴らは君達が思っているようなレベルの相手では―――」


「後でお話は聞かせて貰います。もう、あちらもこちらの解析と準備が出来たようなので……応援到達まで残り1分2秒待ってて下さい」


 その言葉が終わった時には相手の3体が動いていた。

 動きは見た目から鈍重かと思っていた予想に反し。


 巨大な首無しは猛烈なトラックがノンストップで爆走するかのような速度で前に出た少年へと突撃を開始し、通常のガントレットを装備する人型は緩々と前に数m出てから停止。


 背後の黒い骨格標本は上空へと昇っていく。


(前衛、中衛、後衛。中衛の能力は分からないけど、後衛は援護射撃か。あるいは情報収集や観測、管制指揮? シュピナさんが跳べないという事は魔術的な妨害。でも、僕の空間転移は使えた。魔導の空間制御までには干渉出来ない。もしくは―――)


 少年が高速で思考しながらも既に目の前へ迫った首無しのラリアットを前にして、もう外套の奥から引き抜いていたDC製のガバメントを抜き放ち様に4連射する。


 その的確な銃撃は今までの少年には有り得ないような精度だろう。


 無論のように少年はそういったスキルは持っていない。


 持っていないが、小手先であろうと再現出来るようになった技能は極めて有用だ。


 レベル創薬。


 そのあらゆる技能を試す為、全ての制限が存在しない試薬を己の肉体に打ち込んだ少年は通常の人体に作用する蛋白質の合成などの観点では試験にならなかったが、精霊化薬の方ではそれなりにデータを使う事が出来るようになっていた。


 また、こちらの肉体には精神に影響する以外のデータを用いて再現出来る能力が発現出来た為、実質的に少年はその肉体を使用する限りはレベル創薬の精神に関する強化以外の全能力を用いる事が出来る。


 勿論、この日本において今現在実戦レベルで最高位の存在。


 クローディオ・アンザラエルの銃撃に関する技能はバッチリ習得済みであった。


「!!?」


 少年の背後で老人が驚く。


 思わず庇われていてすら死を覚悟した彼が銃撃などでどうにもならないと思っていたゾンビに見たのは一瞬で四肢が砕かれて弾け散った前衛のモンスターが五発目の銃弾で逆方向に吹き飛んでいく姿であった。


(DC製の刻印弾。それも試験中の【貫通炸裂弾Ver02】でようやく貫通。着弾時の計測結果から言って、通常の刻印弾やディミスリル弱装弾では無しの礫……【衝撃転化弾】が貫通出来ずに弾き飛ばすだけで精一杯って事は少なくとも秒速km単位の加速と貫通用の弾頭加工が必須。費用対効果的には今までの数十倍のコスト。無力化するなら、更に2、3発必要、軍団単位で攻めて来られたら、かなりマズイ)


 少年は相手が動かないのを良い事に相手が自分達を解析しているように、また解析し返していた。


 敵の構造材質は少なからずディミスリル。

 それ以外は未だに未知の物質としか言えなかった。


 だが、それよりも気になったのは大陸でもアンデッドと呼ばれるような姿の者ばかりだ。


 首無しならば、デュラハン。


 骸骨で浮くような相手ならば、アンデッドでもリッチー等と呼称される事もある。


 ガントレットを持ったゾンビも侮る事は出来ない。


 死霊に武器を持たせて軍隊として戦わせるというのは数百年前以上昔ならば、死霊術師ネクロマンサーを抱える国家では割とあった光景だ。


 それこそ敵兵や敵国の民間人。

 更には国内の奴隷などを戦場に送り込み。

 死んだら死んだで再利用する外道ぶりであった。


「こちら善導騎士団です。日本国政府及び善導騎士団の共同治安維持プログラムに従い、民間人の保護を開始します。貴官の所属を明らかにされたし」


 少年がこれから善導騎士団のスタンダードになる勧告用の文言を空に響かせると。


 リッチーの虚無な伽藍洞の瞳が赤く輝いて見下ろす。


 ―――『こちら【戦線都市バトル・フロンティア】……人類救済委員会』


「ッ、戦線都市……」


 言葉が響くのは都市全域にであった。


 それこそ東京23区内の多くに大なり小なり、空を見上げる者達がいて……一部はその声を聴いた途端に異変を察知して最も近い善導騎士団製のシェルターに逃げ込み始めた者もいた。


 ―――『契約に従い厚生労働省大臣、椎名寛しいな・かんの招集受諾を要望する。この契約が不履行となった場合、契約内容に則り、全施設の接収及びM計画の第四段階開始となる。第4タームは既に宣言されている。フェイズ9の移行に伴い、我らBFCバトル・フロンティア・シティーは人類削減目標の再設定を行った』


 響き渡る言葉が世界に悠々と佇む黒き骸骨から発される。


 続いて避難警報が発令され、周囲から次々に朝方という事もあり、多くの民間人が逃げ出し始めて、その背後からは警邏中の警察官が善導騎士団の緊急避難警報の発令に伴った即時避難誘導を開始。


 ざわめく都市の最中。


 白んでいく空に黒い概念域の入り口が、嘗て少年が2度体験した黒く壊れた門の発現と同等の現象が観測され始める。


 ソレはリッチーの上に展開されたかと思うと。


 まるで【シャウト】のように次々と内部から首の無い前衛を降らせ始めた。


 秒間数体で増え始めたソレを前にしても少年は下がらず。


 善導騎士団の駆け付けて来る複数のチームに魔導のチャンネル間通信を用いて、即時周辺封鎖と避難誘導を指示。


 更に近隣の避難先のシェルターに1部隊単位で張り付くようにとの命令を下して、善導騎士団東京本部に非常警戒態勢を発令。


 即座に臨戦態勢まで持っていった上で東京全域での飛行禁止を陰陽自を通して日本政府に打診しつつ、観測している敵群の情報を眺めながら、通常の空間転移が不可能になっている原因を調べ始める。


(複数の転移方式の一部が不全? 重力波に異常検出。空間制御時の過負荷が上昇してる? 転移戦術を封じて周辺領域に自分達だけ戦力を展開……概念域からの戦力投射は空間制御に含まれないって事……高次領域の制御方法といい……凄い技術力なのは間違いない)


「お爺さん。椎名って貴方の名前ですか?」

「ああ……訂正するならば、元大臣だがね」


「戦線都市とあのゾンビ達に付いて知っている事がありますね?」


「そうだ。だからこそ、察して欲しいな。このままでは連中にこの東京が蹂躙されかねない。噂の善導騎士団の威力は理解しているつもりだが、それでもこの状況では多くの犠牲が出かねない。この老体が招集されればいいだけの事だ。そこを退いてくれんかね?」


「分かりました。まずはのあのゾンビを倒してからお話を伺いします」


「ッ……あの数を相手に犠牲者を出さず倒せるかね?」


 少年は今現在膠着状態になっているまま。

 敵の数が増え続けている状況にも関わらず。

 それに背を向けて老人に向き直る。


「もし、今あのレベルのZが3以上、一斉に日本の各地に出現したならば、僕らは確実に12勝つ事が出来るでしょう」


「―――」


「ですが、あちらがもしも1個軍団に満たない数で攻めて来たなら、残らず2時間以内の殲滅をお約束します。また、もしあの場所だけにであったならば、無限に駆除し続ける事も。その上で対策を整えるまでの時間、一般人をあの穴から出て来た敵から護り切れるくらいには強いと自惚れさせても下さい」


 老人はようやく自分の前に立っている者の容姿を部下からの報告で聞いていた事を思い出す。


「失礼した。善導の騎士よ……私は前に厚生労働省大臣をしていた椎名寛しいな・かんと申す者だ。君の名前を聞かせて頂けるかな?」


「ベルディクト。ベルディクト・バーンと言います」


「そうか。噂の【魔導騎士ナイト・オブ・クラフト】とは君の事か」


「どう呼ばれてるのかは知りませんが、どうぞ好きに呼んで下さい」


「そうさせてもらおう。そして、一つだけ確約しよう」


「確約?」


「連中は少なくとも1個軍団なんて大そうな数は。断言してもいい」


「分かりました。では、殲滅と行きましょう」


 少年が振り返る。

 一秒間に何体出て来たのか。


 普通の軍隊がその場所を包囲したとて、飽和火力で面制圧するとしても、決して全滅には及ばないだろう数が今も内部から次々に溢れ出している。


 だが、虚空に浮いていた黒い空間が、概念域が、急激に縮小して閉じた。


 内部から出て来た敵前衛の数は合わせて800体程。


「全包囲部隊前衛抜刀。戦術機動【駿虐《インサイド・エリミネーション》】」


 少年の呟きが零された。

 瞬きの間。

 そう呼ぶのが相応しかったのは間違いない。


 軍列を構え、ゾンビ達は反応が遅れた。


 全包囲からのの高速での接敵即時離脱のヒット&アウェイ。


 それが齎すところは単純だ。


 彼らが使うのは今の今まで銃撃のみで対応出来ていた相手がもしも銃弾で倒せなかったら、という非常に単純な状態に対応する為、騎士達が持っていた大規模戦線両翼突破からの包囲による超速近接打撃戦術の詰めの部分を都市部で使う為に応用したクローディオ直伝の一撃。


 あらゆる都市障害物を踏破して駆ける事が可能な者が近接戦闘を疎かにせず鍛錬し続けた末に成し得るだけの単なる突撃。


 が、その力が相手の反応よりも早く。

 相手の反撃よりも早く。

 相手の対応力を上回る速度で。

 尚且つ、敵指揮系統を直接叩いた刹那に行われたら?

 要はそういう事であった。

 防御方陣など使ってはいない。

 彼らを護るのは装甲のみだ。


 それを動魔術による加速と肉体の反射速度を高めて味方の斬撃を喰らわないように一人一殺して離脱するだけの簡単なお仕事である。


 秒速932mを突破した音速超えの戦士達は瞬きが終わった時にはもう敵軍の中を駆け抜けて背後へと抜けて数百m先に抜けており、彼らが交錯した敵陣は蹂躙し尽くされていた。


 傍目にはただ蒼いエンブレムの輝きが、虚空に魔力の転化光が暗闇で車両のテールランプが機動したかのように目へ焼き付く。


 それは無数に周囲から揺らめきながら敵陣を駆け抜けて細切れにし、直後に腐汁と黒い血液のようなものが大量に吹き上がった。


 ゾンビ達の両手両足や胴体が輝きの中で一斉に弾け飛ぶ。


 そうとしか素人目には解らないだろう。


 そして、何かをしようとしていた虚空の黒き骸骨もまた関節の金属球体と頭部を狙撃で割られて、弾け散る事も許されずに弾丸に込められた術式により、猛烈な熱量を急激に供給されて輝く花火の残差の如く地表へと燃え散っていく。


 最後に記しておくべき事はガントレットを構えたゾンビだろう。


 ソレは武器を掲げるより先に腕と頭部を斬り落とされ、更にソレも完全に真っ二つどころか幾つかの破片にまで切り刻まれていた。


 ドチャリと黒い血溜まりに落ちたのは骸骨が構えていた小銃のみ。


 まだ、中心部には動けそうな個体が四肢が一本二本ある状態で残っていたが、容赦なく200前後の周辺ビルの射撃地点からDCを用いた焼夷弾。


 最高温度1万度強の暴威が連続して未だ動けていない敵軍に炸裂した。


 焔の柱が連続して次々に密集して立ち上り、その輝きが夜明けの輝きの中でジリジリと周囲の建物を焦がしていくが、それも耐熱用のバブルを発生させる消火剤が入ったタンクが共に投げ込まれた事で鎮火。


 大量の青黒い粘性の高い泡によって対処された。


 事態の中心にいた少年は方陣防御で背後の二人を護りながら、動魔術で移動させて退避を行い。


「ベルはん?」

「後でまた」

「うん」


 すぐ様に後方部隊からの人員が急いで現場から老人と少女を逃がしていく。


 熱量の中で融けながらも未だ原型を保つゾンビ達の耐久度に目を細めつつ、観測を続行する。


 やがて、無力化したと判断されたタイミングで放たれた青黒い消火剤が中心に投げ込まれるのを機に前へと歩き出した。


 銃火の檻の最中。


 本来ならば、専属の解析班が真っ先に準備万端で後方には控えていたのだが、彼らの出番は少年の前には無く。


 泡に塗れて、すっかり1000度程まで落ち着いた炎獄の上を少年は普通の衣装に外套のみで歩いて行く。


 自然と焼けている様子は無く。


 少年は骸骨の持っていた小銃が完全な原型を留めている事や同じようにガントレットもバラバラになった以外では熱量で融けた様子も無いのを見て、それを掴もうとして。


 ―――『イレギュラーの発生を確認。Code_D2_Exe。敵部隊照準―――Baster_Call』


「?!」


 僅かにチャンネル越しの呟きが聞こえた少年は全周警戒し、突如として自身を襲った重力変動にゴシャリッと地面に脚を膝まで地面に縫い留められた。


「ッッッ―――」


 それとほぼ同時に周囲の空間に人の声の如きものが響く。

 それはまるでオーケストラの輪唱のような荘厳さを伴い。


 無意味スキャットなようにも思えるものだったが、音圧とも言うべき波が周囲400mに渡って鳴り渡った刹那に上空の空間が再度歪んだ。


 ―――『対魔族用の貫通効果ペネトレイターだ。その程度の魔力量で破れると思われては心外だな』


 チャンネル越しの小さな声が少年に死を告げる。

 だが、少年は己の事など何一つ命令する事なく。


 部隊に背後の二人を即座改修して、周辺から出来る限り下がっての広域全力防御陣形を伝達。


 ―――『コンフリクト? 表裏無き機構クラインが作動停止……Code_D3_Exe………Complete……そういう事か。


 今まで歪んでいた上空から再び黒い空間。

 概念域が一部迫出し、人影が下りて来る。

 それは急速に降下した後。

 高重力圏内。


 凡そ120Gの領域で軽やかに浮遊してベルを頭上から見下すように眺めた。


「奴らが逃した15年ぶりの来訪者。市長が言っておられた奴らと同じモノ……そして、を起動した何者か。それが貴様か」


 少年が膝立ちで何とか目の前の相手に顔を上げようとするも、更に自身を拘束している重力の増加によって身動き一つ取れなくなる。


「我が部隊こそが都市の最精鋭と示す良い機会だ。善導騎士団の幹部クラス。貴様は事にしよう」


「な―――に………」


 言葉すらも満足に紡げない少年を前に重力の波の中。

 あらゆるものが捻じ曲がる最中。

 何者かはキロリと少年を見下ろして―――。


 ガチュリと少年の右腕が何か巨大なあぎとに噛砕かれたかのように消え去り、血すら噴き出す事なく。


 ガチュリガチュリガチュリと残った腕と脚までも音と共に無くなっていく。


「      」


 ドチャリと少年の肉体が地面に落ちて沈み込む。


「ッ―――何だ? この味は……あぁ、旨い……これが旨いという感覚か? 力が漲って来る……そうか……同じ……あの騎士共と同じだとすれば、そういう事なのか? ふ、ふふ……愉しみが増えたな。高純度のがこれ程とは……」


 ドチュッと少年の胸元が巨大な鋼の鉤爪。

 その先端で貫かれ、無造作に掴み挙げられる。


「最初からローカルの人員招集など反対だったのだ。削減目標が再設定された以上、リソース内で好きにさせて貰おう」


 少年が無造作に肩に担がれた。


 ゴシャリと全身の骨が砕け、少年が吐血すら許されずに肉体を乱雑に扱われた衝撃で内部が単なるシェイクの中身と同列とされた。


「この国は最初から好かなかったんだ。ああ、まったく、など早く消えるべきだ。だが、市長の命令は絶対……しかし、命は下った。再設定だ!! 愚かなりし人類よ!! BFCの名の下に悔い改める機会をくれてやろう!!」


 恍惚と少年を肩に載せて片方の巨大な重機の如き腕が広げられ。


 音圧が更に高まりながら、空間の歪曲が増していく。


「呪海航路を再接続しろ!!! 【神理匣アルス・マグナズ】!!! Baster_Callだ!!!」


 その歓喜の声の下。

 歪んだ空間の先が黒く戸口を開き。

 その奥の奥。

 何処からか光が降り注いだ。

 光だ。

 本当にただの光。

 可視光や紫外線。

 それ以外の波長の光。

 全周波帯にも及ぶ絶光が東京上空を埋め尽くす。


 極短い波長の光などはもはやレーザーなどすら及ばぬ真に畏れるべき破壊だ。


 世の中にはあまりにも強い光のせいで皮膚癌になる者もいる。


 それどころか。


 人体に有害な輝きの出力がそれこそ全てを溶かし尽くす世界を終焉させてしまいそうな柱となって降り注げば、周辺領域の全てで人々が何もかもを透過する波に呑まれて死ぬ事など決まり切った未来だろう。


 そう、そのはずだった。


「何?」


 光の中心域。


 周囲が完全なる白で塗り潰されて尚、平然としていた声の主が目を細める。


 東京23区を本来なら全滅させ、雑草一本単位から完全に死滅させるだろう死の光柱が周辺800m地点で堰き止められ、外部からは薄暗い輝きの雨……その程度にまで威力を減じさせられていた。


 その理由は言うまでも無く。

 善導騎士団隷下部隊が多重展開した無数の盾。


 そう、少年が黙示録の四騎士達と戦う為に常にバージョンアップを施し、つい先日には北海道戦線でも活躍し、ルカを護り抜いたソレの為であった。


 次々と虚空を奔るようにして、巨大な空間を囲むようにして、円筒形の領域を形成し、その盾の後ろに三重、四重の壁を築いていくソレの数は既に万単位を超えている。


「………飛翔するドローン化した盾で防ぐか。北海道戦域のデータは正しかったわけか。小癪な事を……まぁ、いい。Code_Stack……これより日本列島内のScriptを一斉起動する。Stageを参照―――厚労省管轄の全Domainをアクティベート!!」


 その時、日本列島に起こった異変の殆どを人々も、善導騎士団も陰陽自もまた知らなかった。


 だが、長い照射が終了し、盾に囲まれた地域が灼熱の溶鉱炉となった直下4kmまでの大穴を大地に晒した時。


 少年だったモノを抱えて再び空間の歪みへと消えていこうとした声の主がせっかくの獲物を投げ捨てて、背後から唐突に振り下ろされた剣を巨大な重機の如き機械椀の関節で受け止めた。


「転移負荷中の空間に突如として現れる、か。面白いッ!!」


 声の主が横振りの一撃をまるで背後が前面であるかのように繰り出した。


 未だ外部からの観測は重力変動によりほぼ不可能という状況。


 更に再照射の可能性から封鎖は解かれておらず。

 内部を伺い知る事は誰にも出来ていなかった。


「その姿……データにあったぞ。魔族の頚城か。初めて見るタイプ……生け捕りにさせて貰おう!!」


 巨大な機械椀による伸縮自在の唸る鞭のような剛腕の一撃が超重力下でも軽やかに繰り出された。


「ッ」


 だが、初めて機械椀の主が己から背後に跳ぶ。

 虚空の先。


 黒いローブを身に纏った魔族の頚城と呼ばれた何者かは相手が未だ歪む重力の壁に守られている事を知りながらも、その片手にした小さなクロスボウを連射して、投げ捨てられた少年の肉体を虚空で回収。


 己の手まで動魔術で引き戻しつつ、闇を背後に呼び出す。


「ッ、呪海航路を泳ぐか!! 単なる高次存在の使い走りがッ!!」


 己の獲物を奪われた声の主が激昂気味に機械椀を更に伸ばしながら、敵に最短で突きを見舞うが……それよりも早く黒の領域に少年と相手が沈む方が早かった。


「ッッ、いいだろう。覚えたぞ。その顔ッ!! 次は血祭に挙げてやろう!! ッ―――各地に襲撃だと? フン、小賢しい……対応に当たらねばならんか」


 声の主は興が削がれたと言わんばかりにご立腹の様子。


 耳元を僅かに片手で抑え、何かを聞く素振りをした後、上空の歪みの中へと消えていく。


 そうして、未だ盾に囲まれた領域内。

 通常の転移では出入りなど出来ないはずの世界の外。

 東京郊外の敷地の一室。


 夜明けには速い輝きが瞬間、空を染め上げた事に多くの人々がざわつく最中。


 血も流れない少年のほぼ原形を留めない肉体がソファーに寝かせられる。


「……まだ受信出来ているはずだ。あらゆる弾体を弾きいなして敵を縫い留める魔眼の疑似顕現【呪重力バローリング】とはいえ、現実の重力制御には及ばない」


 軋んだ少年の肉体がボコボコと泡立ち始め、沸騰するかのように細胞が増殖分裂し、次々にグチャグチャだった肉体のあちこちに導線らしきリングが虚空から出現すると大量の水……生理食塩水に莫大なカロリーを内包した液体が降り注ぎ。


「ッ……」


 数秒後には少年の四肢が再生していた。

 質量が液体で補填されたとはいえ。

 それでも欠乏する肉体の栄養素は未だある為か。

 身体が動くようになるまではしばし掛かるだろう。


 だが、思考中枢たるチップと受信機たる背骨の中枢機構は壊れた様子もなく作動中であり、外部重力の影響によるエラーは既に解消されていた。


 瞳がチラリと相手を見やる。


 青白い肌に黙示録の四騎士達にも似た漆黒の鎧を着込んだ少年だった。


 そして、その頭部は存在せず。

 顔だけがある。

 灰色の髪や灰色の瞳。

 姉妹が映る写真に写り込んでいたはずの彼。


「初めましてになるか。ベルディクト・バーン」

「……貴方は」


「何も言わずに聞いて欲しい。今、後の二人がBFCの拠点となりつつあるを強襲している。だが、後手に回った結果。恐らく、関西圏から西は拠点化が完了する。しかし、それと同時に魔族側も西に領土を盗るだろう。互いが食い合う状況下で魔族側は人々の保護を始めるはずだ。BFC側の兵隊との戦闘で犠牲者が大きくなる前に周辺地域の避難を始めて欲しい」


「………解りました」

「恩に着る」

「今までずっと見ていたんですね……」

「ああ」


「時折、お二人の反応に弱まる瞬間がありました。誰かの目から隠すかのように……理由がようやく分かりました」


「………」

「会わずに消えるつもりなんですか?」


「あの子達は……もう未来を向いて歩いている。過去は墓の中で眠るのがいい……そう決めたんだ」


「皆さんはどうする気なんですか? クアドリスは決して、この国を諦めないでしょう。魔族側の事情はそれなりに知っているつもりです。本当に国を再興すると決めたなら、彼らは妥協しない」


「考えてはある」

「そうですか……」


「これは勝手な男の……もう死んだ人間からの切なる願いだ。もし告げるなら、全てが終わった後にして欲しい」


「……一生、お二人に恨まれたくはないんですけど」


「だが、それくらいはしてもらえるとありがたい。あの二人を奪った君へのそれが罰だ」


 少年は何故知っているのか問わない。

 少年は何故知っているのか言わない。


 だが、二人の少年は確かに同じものを胸に抱えている事だけは確かだった。


 だから、少年ベルは頷く。

 きっと、それは姉妹達への裏切りだろう。

 恨まれるのは間違いないだろう。

 顔を歪めさせ、涙すら零させるだろう。


 だが、それでも目の前の少年の気持ちが分かってしまう以上。


 姉妹を大切に思えばこそ。


 自分だって、同じ立場なら同じようにするだろうからこそ。


「……必ず、お二人は幸せにしてみせます」


 そう少年には答える以外の選択肢も無かった。


「疑ってなんかいないさ。あの子達の今の様子を見れば……だから、敢て言わせてくれ」


 その無い頭を少年は―――ユウヤと嘗て緋祝姉妹から呼ばれていた存在は下げた。


「あの子達の笑顔をどうか護り続けてやってくれ」


「男としてお約束します。時に泣かせる事もあるかもしれません。でも、絶対最後には笑っていてくれる日々を……」


「……ありがとう」


 僅かに微笑んだ少年が背を向けて虚空へと融けるようにして消えた。


 それを見送った少年は自分もまた朝の目覚めへと向かう為、転移で東京本部の内部へと帰る。


 待たせているシュピナと老人に話しを聞くならば、本物の身体で出向く必要もあった。


 巨大な敵を前にしてデータを撮り続け、対峙し続けた肉体は即座に陰陽自研に送られ、あらゆるデータ取りの為、検査へ回される事がもう少年の号令で決まっていたからだ。


 研究者達は送られてくる抜け殻の身体を細胞の一片に至るまで調べ尽してくれるだろう。


 ファースト・コンタクター。


 敵を知る為に囮となった少年は最初からあのBFCを名乗る喋る個体相手に勝つ事など頭に入れていなかった。


 それよりも相手を丸裸にして対策を立てる為に自らの仮初の肉体を使った。


 両手両足の消失時、衝撃で本体にもフィードバックによる魂魄への傷を負った少年であったが、今頃は異変に気付いた姉妹達が手当てしてくれている事だろう。


(避けられない戦いなら、走り続けるしかない……何が待っていても……)


 拳を握った少年の決意は誰にも知られる事なく。


 儚くも見える小さな背中で少年は背負うモノに対する覚悟を肩に身体を転移で直接陰陽自研内部へと飛ばしたのだった。

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