第36話「脱出への道程」

 フィクシーは連れ去られた後。

 タワーの地下2階へと案内される事になっていた。


 彼女を囲む青年達は既に顔を外しており、夜の僅かな自由時間なのか。


 子供達は青年達を見るとサッと敬礼してから訓練室や学習室の方に走っていく。


「………何故、子供達をあのように育てた?」

「内戦を防ぐ為です」


 すぐ前を歩いていたエヴァがフィクシーに肩を竦めながら教える。


「内戦?」


「システムの予測は正確です。そして、その予測によれば、将来……我が親友に彼らを任せた場合、青年になった彼らは憎悪に駆られて我々と血みどろの内戦を繰り広げて滅亡するとされていた」


「それが真実だと?」


「逆に訊ねましょう。この都市がこの状況で小康状態を保っているのは何故です?」


「………」


「さっきも言ったでしょう。彼と僕の勢力でバランスが取れているからです。連立与党もしくは野党と与党が妥協した結果、みたいなものだ」


「……だが、その与党たるお前は実権を絶対に渡す気はない。違うか?」


「無論です。だが、今の状況が最も滅亡から遠い。バランスは良いと言える。逃げ出そうとした人々が自分の選択肢に疑問を持っているから、自身の行いを悔いてすらいるから、彼らもまた憎悪には走らない」


「そういう誘導だろうに」


「そう誘導せねば、彼らは我々に逃げ出せなかった憎悪を向けて、やはり治安は悪化し、都市機能は麻痺し、遠くない未来に我々は滅亡していた」


「だからと言って、子供の個人を剥奪し、洗脳するのか?」


「教育と言って頂きたい」

「ヒューク先生。おやすみなさい」


 いきなり子供達が走って来たかと思えば、そう敬礼した。

 そして、ヒュークもまた真面目な顔でオヤスミと敬礼する。

 すぐに子供達が調整室へと走っていった。


「それに僕は真実、彼らに自分のしている事の正当性をアピールしていますし、彼ら自身に施している戦闘プログラムと精神面の管理プログラムに関して、洗脳が行われている旨も教えている。どういう意図があってしているのかすらね」


「麻薬中毒患者に麻薬をやらせながら、お前に麻薬をやるのはこんな理由の為なんだと理由付けしてやる優しい売人だな」


「ははは、御尤も。だが、彼らは3年もすれば、納得している。顔がある人間との差別化によって通常社会との間に断絶を抱え、裏切らないように管理している事も含めて、ね。子供の適応力を侮ってはいけない」


「愛してもいない子供を養育する者と養育される者。不憫でしかないな」


「ええ、それには同意しましょう。僕は子供達を愛していない。が、彼らに対して真剣であるつもりです。彼らには生きる術と糧と武器と任務を。その代わり、真剣に此処が嫌になったなら、あちらに寝返ればいいとも言っています。顔も返しますしね」


「貴様は……随分と真面目なのだな。独裁者殿」


「そうでなくては英雄などやっていられないのですよ。この滅び掛けた世界であの腰抜け共のせいで故郷を失い、今まで戦い続けて来た軍人が馬鹿を見て、全滅していいとは思わない。僕は彼らの守護者だ。そして、彼らは僕の駒になった」


 男と共にフィクシーが実験室へ入っていく。


「共に戦い続ける為に?」

「生き残り続ける為に、だ。勘違いするな異邦人」


 エヴァが冷徹な瞳でフィクシーを見やる。


「僕は確かに冷徹で道を外れた独裁者だ。だが、この都市の存続と故郷を護りたい気持ちと戦い抜いた戦友達の名を決して風化させはしない。あの化け物達が出て来た数年前、多大な犠牲を払って倒した。敵が量産品だとすぐに気付いたよ。鹵獲品を研究して使うのは軍の常套手段だろう?」


「己の手に余るとしても?」


「あの騎士達の手札を解明出来れば、今後の犠牲も少なくて済む。その為に研究は続行していた……あの口の軽い彼のおかげで魔力の存在と魔術の使い方を学べたことはとても大きかったよ。まぁ、この世界の人間には魔力が発現しないというのが分かったが、魔術具や魔力を集めて応用する方法は分かった。デビットのせいで今は何処にいるのか知らないがね……」


(クローディオが連れて来た協力者か)


「さて、御婦人に乱暴するような不届き者は我が軍にはいないし、そんな事をさせるつもりも無いが、研究には付き合って頂こう」


「どうするつもりだ?」


 フィクシーの腕が剥き出しにされて、小さな細長い鉛筆を短くしたような金属製の六角柱が付けられるとチクリとして僅か血を吸い出した。


「ありがとう。君のおかげでまた色々と捗る」

「それが身を結ぶかどうかは分からんがな」


「はは、気にしないでくれ。君達の技術にも色々と出来る事と出来ない事があると聞いている。だから、気になるようなら後で自分達の魔術で治してくれ」


「何?」


「同志達に四肢を繋いだのはいいが、研究する程の資料が揃っていなくてね。本当は異世界人の彼に協力してもらうつもりだったのだが、彼はデビットのせいで何処にいるのか分からなくなった。君には彼の代わりに是非、協力していって欲しい」


 エヴァが白衣姿の子供達に何か大きなものを覆った台車のようなものを運ばせてから外に出した。


 それと同時に今まで重火器で武装していた青年達が何やらスプレーのようなものを互いに満遍なく掛けて、白い手術着を着始めた。


「何、そう不格好なつもりはない。色々と研究していてね。戦闘用の義肢としてはかなり優秀な方だと自負している。ただ、とにかく重くて細胞の固着と再形成には巨大な魔力が必要だと判明したんだ。魔術師の真似事な僕にはどうにもならないが、君にならば出来るのではないかな」


 バサリとエヴァが台車の上の被いを外した。


 それは2m程の金属と硝子製の缶の中に詰められた巨大な筋肉と鎧の混合塊だった。


 それが四つ。


「そう渋い顔をしないでくれ。君のようなお嬢さんの胴体を細切れにはしない。それ程、倫理に悖っているつもりもない。同志と子供達が今後も生き残る為に君の四肢を少し使わせて貰いたい。それだけだよ」


「それだけ、か」


「ああ、斬り落とした後の手足は責任を以て肩や腰から繋げさせてもらう。子供達の四肢を斬って義肢を繋げるより、義肢そのものをもう一本体に追加する方が道徳的だろう? これが可能になれば、生活用の腕や脚は温存して戦闘用のみ付け外し出来るようになるかもしれない」


「外道め……」


 さすがに額へ汗を浮かべるフィクシーだったが、此処で逃げ出しても恐らくはもう備えさせてある敵の一部がスイートホームを射爆するだろう。


 エヴァが青年達に手術着を着せてもらい、手袋を付けられ、スプレーを全身に振り掛けられながら、酷薄な瞳を少女に向ける。


「ああ、ちゃんと体は隠して手術を行うから、セクハラで訴えないでくれよ? でも、脚は二本だと不格好だよなぁ……ああ、脚は分解して、義肢形成時に内部で組み込まれるようにしてみようか?」


 良い事を思い付いたとばかりに男の顔が輝く。


「これでも戦場で鍛えた外科の腕は中々なんだ。沢山、手足は切ったし、繋げて来た。骨も鋸でギコギコした。乙女の柔肌だ。痕が残らないよう極力努力しよう。では、諸君……始めようか」


 表の顔の軽薄さとはまるで別人。


 こちらこそが本物なのだとさすがのフィクシーも理解する。


「そう緊張するな。異邦人のお嬢さん。僕は君をモルモットにはするが、殺す気も寿命を削る気も無い。ただ、僕らの為にちょっと両手両足を使わせてくれ。そう、たったそれだけの事だよ。僕はあの戦線都市の連中とは違うんでね」


「何だ!? どういう意味だ!?」


 フィクシーがその言葉の真意を確かめようとした時、プスリと首筋に圧力で肌から浸透させる方式のアンプル型注射器が首筋に押し当てられ、シューと音をさせながら内部の麻酔を流し込んだ。


 グラリと傾いで、すぐに手足が動かなくなっていく少女が青年達によって左右から吊られ、宇宙人でも運ぶかのように実験室奥の手術室へと台車の上の代物と共に運ばれていく。


「そう怖い顔をしないでくれ。起きたら全て終わっている。貴重なデータをありがとう。フィクシー・サンクレット殿」


 バタンと扉が閉まった後、手術中の電灯がパチリと点いたのだった


 *


 アフィス・カルトゥナー独身二十二歳男性。

 善導騎士団のイケメンランキング44位。

 貴族系な顔面にゆるふわ金髪で白い肌。

 魔術大学出の秀才。

 女性に優しく気さくな人物としても人気ですハイ。

 絶賛彼女募集中。


「よろしくぅ!! ウェーイ!!」


 という、如何にも頭の悪いナンパ野郎の戯言が背後でされていた。


 が、途中でヒューリは生ごみでも見るかのような目となり、すぐにフィーは大丈夫でしょうかと気弱顔になりつつ、出された食事をテーブルで摂っている。


 スイートホームに合流した3人と1人が保護を求めて数時間。


 エヴァ側が沈黙を保っている間に合流した彼らはすぐに拠点を地下通路を使って変えて、そこで一息吐く事になっていた。


 ジェシカは初めて見るベルの仲間達を吟味しているようで、すぐに品定めが終わったらしく。


 ベル=護るべき同年代。

 ヒューリ=優しいお姉ちゃん。

 クローディオ=ちょっとイカスにーちゃん。

 アフィス=ゴミ。


 というような瞳を其々向けつつ、フィクシーというリーダーが捕まったという深刻な状況に大丈夫だよとヒューリやベルを慰めている。


 アンドレは缶詰を食べ終えた後。

 四人を連れ立って作戦室と書かれた部屋へと入った。

 大型のディスプレイで四方向を囲まれ。

 大きな卓上には周囲30km四方を記した地図。


 上から垂れ下がるLED製の電球がパチリと点けられ、横から小さなチェス用の駒が大量に入った箱がドスンとテーブル横に運ばれ、話が始まる。


「まず、フィクシー女史の事に付いてだが、4点だけ確証を持って言える事がある」


「旦那、アンタはあの男の親友だそうだが、それは親友としての言葉か? それとも組織のリーダーとしての言葉か?」


 まず最初に発言したのはクローディオだった。


「どちらもだ。奴はまずフィクシー女史に付いて乱暴は絶対にしないと言い切れる。また、研究に協力させようとするだろうが、命に係わるものや寿命を縮めるような胴体への手を加えるような手術や諸々の施術は行わないだろう」

 その言葉だけで裏に潜む危険性にヒューリの顔が青くなる。


「どうしてですか?」


「あいつの恋人が防衛線の最中、逃げ出して夜盗化した軍人に浚われ、慰み者にされてから殺されたからだ。奴はそういった方面で倫理的に悖る連中は戦中も見れば、皆殺しにした」


「―――皆殺しって……」


「オレも随分と手伝わされたよ。夜盗化したり、軍規を無視して、市民を食い物にする軍人を奴は絶対に許さなかった。それがフィクシー女史が乱暴はされないという話の根拠だ。その頃からかもしれんな。奴とオレの乖離が出たのは……」


「結構出来る方だと思ってたが、御同類だったか」


 クローディオの声に肩が竦められる。


「同類に言われて嬉しい話じゃないのは確かだ」


 軽く返したアンドレがクローディオの事は一応警戒していたのだろう事を暗に示した。


「さて、残りの二点だが、奴は君達が報告していた義肢……ゾンビの研究の為にフィクシー女史を使うはずだ。奴は合理主義者だからな。それは許容範囲と言える。そして、フィクシー女史だが、オレ達が事を起す時に返って来る可能性が高い」


「本当かよ……」


「奴ならば、十中八九そうする。理由は単純だ。奴は決して力のみで全てを解決しない。いや、逆にそれはおまけに過ぎない。恐らくお得意の扇動や演説で逃げる人間を削りに来るだろう。だから、途中で人質を取ったというような外聞を無力化する為に力ではどうにもならなくなった状況で開放するはずだ」


「間接的な方法の方が得意だと?」


「ああ、そうだ。後、子供達も何人が我々の下へ付くか。君達からの情報を知れば知る程、奴は我々には秘匿して盤石な体制を作っていた。監獄の事は把握していたが、まさか子供達をそのような手管で取り込んでいるとは思わなかった」


「それでどうする? あの客船で逃げる程度の人間は付いてくるんだろ?」


「そもそも客船は満杯まで入れても2万人が限度だ。我々も食料をかなり備蓄してきたが、それ以上は亡命先まで食料が持たない。必要な水なども積み込むとすれば……それが限度だ」


「この都市の総人口は?」

「2万6000千人だ。ロスと比べても10分の1以下だからな」

「そんなに少ないんですか?」


 ヒューリが思わず訊ねる。


「殆どは海を渡ったんだ。最後の便に使われていた客船が出た後は守備隊数百人を載せる船があれば、事足りた。残る人間の事は考慮されてない」


「そんな……」


「此処に残ると決めた人々は実際、守備隊に残ってくれとは言わなかったよ。最後の船便が出た後、次の軍用の救助船がくれば、それで出て行っても何一つ文句は出なかっただろう」


「それが自殺だとしてもか?」


「それが自殺だとしてもだ。最後まで自分の住み慣れた街で過ごしたい。そう言っていた……だから、あいつがこの街を護って残ると言った時、そういう人々はあいつを英雄と祭り上げたし、今もそうなんだ」


 アンドレがその事に付いては仕方ない事だったのだという顔で次々に箱から駒を出しては配置していく。


「奴はタワーから動かない。あそこが市内全域に号令を出す電波塔になってるからだ。このタワーを中心として都市部の要所に数人から十数人の人間が配置され、同時に警邏が巡回している」


 巡回ルートが事細かに地図へと赤線で入れられていく。


「あいつはオレ達のやろうとしている事を知ってるし、それを事前に止めようとは動かないだろう。そんな事で手駒を失いたくないからだ。奴が動くとすれば、オレ達が逃げ出したい連中を誘導する際だ」


「だろうな。そこが最も弱点として有効だろう」


 クローディオはどうするんだという顔を向ける。


「恐らく、奴のしている事を告発しても無駄だ。仕方のない事だったんだと反論されたら、奴以上に今責任を負える者もいないし、裁く者もいないし、代理となる者もいない以上、残留派の殆どは従うだろう」


「つまり?」


「オレ達の使命は出来る限り、逃げ出したい者を安全に逃げ出させる事だ。奴もまたオレ達が力を示す事が出来れば、貴重な人材が死ぬ事を惜しんで損切りとして脱出は見逃すだろう」


「ふむ。随分と信頼してるんだな」


 クローディオの言葉に大きな溜息が吐かれた。


「奴はそういう奴だ。そうでなかったら、この都市を未だに生き残らせる事など出来るはずがない……」


「その為にはどうする? 部隊を潰して回るか?」


「いいや、奴の戦術は叩ける時には叩く。だが、襲撃されたら、後退しながら護りを固めてとにかく被害を減らす……そういうものだ。基本的に攻撃用の戦術は使わない。あの戦争ではそれが最善だったし、この人的資源が乏しい大陸で無駄に人命を用いて殴り合う事を奴は嫌ってる。襲撃したら逃げられて包囲からの飽和火力で殲滅されかねない」


「つまり、決戦か」

「そうだ。決戦だ」


 ピシッと指がタワーに置かれたキングを人差し指で弾き飛ばす。


「奴はこの手も読んでいるだろう。だが、だからこそオレはアンタらに話を付けた……」


「オレ達の役目はあのナルシスト野郎が待ってる敵の本拠地に殴り込んで包囲されるのも構わず、奴を殺さずに撃破する事、だな?」


 クローディオの声にヒューリが思わず、どうしてなのかという顔をする。


 そして、その後にそんな気持ちになった己を戒めるかのような顔で俯いた。


「そういう事だ。奴を殺せば、残された人間は死ぬしかなくなる。かと言って、奴を屈服させられなければ、絶対に脱出は阻止してくる」


「僕らはあの人を負かさなきゃいけないんですね」


 ベルの言葉にアンドレが頷いた。


「人間同士の戦いだ。命も掛かるし、銃弾も飛ぶ。だが、ルールと倫理は必要だという事だ……あの絶望的な消耗戦からしてみれば、何とも涙が出るくらいに易しくて困る」


「で、襲撃計画はどんなもんになるんだ?」


「スイートホームの面々が各地の要所へ攻撃を掛ける。奴はそれが囮だと解っていても対処せざるを得ない。掌握されれば、脱出民を妨害出来なくなるからな。そして、あちらの戦力をある程度は釘付けにしてから、こちらからタワーへと撃って出る」


 四つの駒がタワーのキングとその他の駒の前に並べられた。


「まず第一段階として奴が配置する包囲と狙撃用の戦力を行動不能にして包囲網に穴を開ける。次にタワーの直掩に当たっている部隊を撃破し、最後に奴のいる本隊を制圧し、守備隊に投降を呼び掛ける」


「オレ達頼みかよ……中央突破ならオレかベルだな」


 クローディオがげんなりした顔となる。


「これもまた囮だがな。スイートホームの別動隊が船を奪取し、奴らが右往左往している合間に脱出民の誘導準備を行う。前々から脱出したい者達には声を掛けてある。奴に密告なども入っているだろうが構わん。出来レース染みているが結局は我々か奴か。それを選ばせる為の戦いだ」


 元英雄の肩が竦められた。


「都市の連中の意思を傾ける天秤。それがスイートホームと奴の掌握する守備隊や親衛隊の勝敗だ。勝った方が多くの民間人に影響力を行使する事が出来る。どちらがいいかは市民次第という事でもある。だが、我々が負ければ、市民の脱出は物理的に不可能になる」


「分かった。大隊長代理としてアンタの計画に乗ってやる。ただし」


「ただし?」


「計画の遂行に当たってはウチのベル兵站特務兵から色々ある」


「く、クローディオさん!?」


 思わずベルが持ち上げて来たエルフに困った顔をした。


「いいだろ。オレ達の中心はお前だ。だから、お前が考え付く限り、準備しろ……大隊長もそれに同意するさ」


 その遣り取りを見て、アンドレが少年をマジマジと見やった。


「君は見掛けに寄らず大物だったようだな」


「そ、そんな!? 僕なんか本当にフィー隊長やクローディオさん、ヒューリさんに比べたら……」


「謙遜は受け取っておく。それで何か計画に対する意見はあるかな?」


「は、はい。まず、船に仕掛けがされていた場合の懸念が一点。それから食料に関してはどうにかなるかもしれません。後、武器弾薬に付いては出来る限り、非殺傷系で強力なものを揃えましょう。幸い、七教会の使う製品には非殺傷系の物資に関するデータは沢山あるので……あ、後―――」


 少年が話し始めるのを見て、アンドレもまた少年の重要性を認識し、ヒューリは何か手伝える事があったら何でも言って欲しいと真面目な顔を向けた。


 そんな四人が話す横で何一つ付いていけていないアフィス・カルトゥナーはお邪魔みたいなのでと誰にも聞かれてない声で告げつつ、アジトのあちこちをウロウロし、若い女性にちょっかいを掛けようとして、不審人物としてジェシカの背後にいるシャンクによって連行されていくのだった。

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