第34話
俺の予感は的中した。2ゲーム中2ゲームとも俺は真奈美に勝つ言ことは出来なかった。最後のゲームでの点差は最初に比べれば縮んだものの、それでも差は大きかった。
「なにを奢ってもらおうかな」
ボーリング専用のシューズを脱ぎながら真奈美は悩んでいる。
「マクド?ジョイフル?少し高めのフランス料理とか?何にしようかな・・・」
「なるべく高いのはやめてくれ。今日はそんなに多くは持って来てないから」
「え〜、しょうがないな。じゃあジョイフルでいいよ。この近くに看板が見えたし」
「ありがとう」
真奈美の配慮には本当に感謝する。食べに行ってお金が足りない、なんて恥ずかしいことにはなりたくない。真奈美以外だったら言いにくかっただろうが、相手が真奈美なので気がねなく言える。
「それじゃあ行くか」
真奈美が外靴に履き替えるのを待ってから声をかける。
「うん」
ジョイフルに着くと時間が悪く人で溢れていたが、幸いひと席空いていたのですぐにテーブルに着くことが出来た。
「全部美味しそう」
テーブルに置かれたメニュー表を見ながら、時々ページをめくっている。
俺ももう一つのメニュー表を見ながらで注文を決める。ハンバーグ?いや今日は丼だな。丼の載っているページを開くと海鮮と肉が出てくる。海鮮もいいけどやっぱりガッツリ行きたいのでカツ丼を頼むことにした。
「真奈美は決まったか?」
「う〜ん、悩み中」
真奈美はハンバーグのページで止まっているのでハンバーグ系なのだろう。
「どれと悩んでいるんだ?」
真奈美と同じページを開けて問う。
「え〜と、チキンが乗っているやつとこの期間限定の肉を使ったっていうやつ」
言っていたメニューに目を向ける。どちらも金額はそんなに変わらない。違いは量と質。期間限定のやつは量は少ないが高そうな肉を使っているらしい。対してチキンの乗っているやつはハンバーグと大きなチキンがついてくる。
「どっちも美味しそうなんだよね・・・悩む〜・・・」
両手を組んで悩む真奈美はこの選択肢を選べる気がするしなかった。このまま悩むだけで時間が過ぎるのはもったいない。俺はカツ丼をあきらめることにした。
「ならさ、両方頼めば?」
「・・・でも私そんなに食べれないよ」
「知ってる。半分ずつ食えばいいだろう?」
「そっか・・・でもいいの?注文決めたんじゃ・・・」
「両方食べたいんだろ?なら俺は真奈美の合わせる。ボーリングで負けたかなら」
「ありがとう」
二人の注文が決まると店員を呼んで注文が届くのを待った。
先輩、私だけを見てください 加藤 忍 @shimokawa8810
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます