第24話
「負けたー」
大縄飛びを終えた生徒がそれぞれのテントに戻って来た。みんな悔しがっている。
「惜しかったな」
テントで応援していた俺が言えるのはそれぐらいだった。
「本当だよ!」
近くに来た真奈美が少し声を張り上げて言う。
「緑とたった一回の差だったんだよ!勝てたかもしれなかったのに」
そう、白は緑に負けた。白も緑も去年の赤を超えたものの六十三と六十二という結果になった。
「みんなおつかれ」
横で応援していた団長もそれ以外言わなかった。
「次の種目は借り物競争です。選手は集まってください」
アナウンスに呼ばれたので席を立つ。
「じゃあ頑張ってきますか」
「ファイト!」
真奈美の応援を背に入場門に向かった。
入場門に着くといろんな人がいた。保護者とか先生がいたというわけではなく、いろんな体型の人がいたという意味で。
この人走るの得意ではないなという感じの人が多々見られる。
借り物競争のいいところはみんな平等にチャンスがあること。悪いところは運がないと最悪のカードを引くことぐらいだろう。去年はバナナの皮があった。もちろんバナナを持ってきている人はおらず、結果見つからなかったのでその人は手ぶらでゴールした。
「あれだけは引きたくない」
そう思いながら並んでグランドに出た。
スタートラインに着くと種目の解説が行われる。
「それでは借り物競争のルールを説明します。まず始めに少し離れたところにあるカードを引いてもらいます。カードはランダムで置かれます。目の前のカードを引く必要はありませんので、各自早いもの順に取ってください。カードにはそれぞれお題が書かれています。それが人なのか物なのかはわかりませんが、カードに書かれたお題を手にグランド真ん中のマイクでお題の内容を言ってからゴールして下さい。長くなりましたが以上です」
競技のルール説明が終わると一番手の一年生からラインに立つ。名前と学年を呼ばれると教師の持っているピストルの音とともに競技が始まった。
「緑速い速いです!赤も負けていません!誰がなんのカードを引くのかー!っと」
実況をしていた女の子の声が急に変わり、マイクの向こうからは「えー!?」と言う声が聞こえる。
「速報です!去年全然見つからなかったバナナの皮の代わりに、え?これ言っていいの?・・・わかった。えー、今年からは気になる人が入っているようです!枚数は二枚だそうです!」
急展開にアナウンスの子も待機中の俺らも、ましてや今からカードを引こうとしている一年生五人の足も止まる。
その反対に関係のない応援席側からは黄色い声援が送られる。
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