第23話
体育祭の日はあっという間にやってきた。今週は授業がなく、ただひたすら炎天下の下で面倒な入場の練習や、何故か無駄に長話をしようとする校長挨拶、それぞれの出場する種目の一連の流れを確認したりと忙しかった。
そんな苦難?を乗り越えた今日、みんなの目はいつも以上に滾っていた。
「いいか一、二年!今日は白組が勝って帰るぞ!!」
と入場門で色の中で一番熱く燃えている団長が後ろまで余裕で届くような大声をあげる。
その声に応えると入場のアナウンスが流れた。
「これより第85
学校の何処からか花火があげられ、それを合図に音楽部の演奏が流れる。
そこからプログラム三番の百メートル競争まで俺らは口を閉じ、ただ時間が過ぎていくのを待った。
「プログラム六番、大縄飛びです」
アナウンスがなると多勢の生徒がグランドに出て来る。この種目はその名の通り、時間制限内に連続で何回跳べたかを競う。時間以内なら何回飛び直してもいいというルール。
この種目には耀太と真奈美が出ている。耀太は去年も出場したのでその流れ。真奈美は他の友達と一緒だからだそうだ。
「それでは用意、初め!」
開始の合図とともにグランドの五箇所から「せーの!」と威勢のいい声が聞こえてくる。ほぼ同時ぐらいに各色の生徒がジャンプする。縄の回転スピードもほとんど変わらない。だから引っかかればすぐにわかる。
「さー、始りました大縄飛び!今年は何処がどれだけ飛べるのでしょうか?ちなみに去年は赤の四十七回が最高です。どうなるこの競争!!」
とアナウンス席では体育の先生が興奮気味にこの競技を実況している。この先生は運動会中はずっとこんな感じだから二年生以降は今年もやってるな、としか思わない。
「おーっと!強者赤組が引っかかったー!それに続くように黄色も引っかかる!残り一分、この競技は青、緑、白組のどれかになりそうだ!」
と実況通り赤と黄色は引っかかってもう一度チャレンジしている。残りの色は今も着々と回数を増やしていっている。
「ここで青が引っかかってしまった!残りは緑と白だ!」
テント内でも大きな応援が送られている。俺もその一人だ。団体競技は得点が個人より多く、取れたら有利になる。団長なんで大縄の横に立って激しく白旗を左右に振っている。
それから少ししてピーと笛が鳴った。ここで三分が経過した。ここからは引っかかったら終わりになる。すでに黄色と青は終わってしまったのでしゃがんで飛んでいる生徒たちを静かに見ている。
「残りは赤と緑と白だ!全員頑張れー!」
縄を回す人たちも飛ぶ人たちも互いに応援しながら声を合わせていく。しかし競技はその後長々と続くことはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます