メガネちゃんの告白

「わたし、前からずっと思ってたんです、ゆきりんさんが男だったらいいのにな、って。ダメですか?」


——ちょ、ちょっと待って。何、この展開……


 カンナとパーマン、そして不死川が佑紀乃を見つめる。


——この雰囲気って、かなり空気読めオーラに包まれている気がする。でもさあ、さすがにそれは……。一応私だって女だし……


 必死で見つめてくるメガネちゃんの眼差しを必死の思いで耐えながら、佑紀乃がやっとのことで口を開こうとしたその時、


「なーんて、冗談です。でもゆきりんさんが男だったらな、と思ったのは本当ですよ」


 佑紀乃は止まっていた息を吐き出した。


「もう、変な冗談はやめてよ、心臓止まるかと思った」


 パーマンも肩の力を抜いた。


「まあ、でもあの状況でもし本気だったら、ゆきりんには申し訳ないが、受けるしかないだろうな。俺だったら受ける」

「お前には行かねーっつうの!」


 カンナが近くのチラシを丸くしてこめかみを、スポン、と叩いた。


「痛っ! お前、凶器作るのうまいな。かなり痛かったぞ、今の……」


 その様子を見て、メガネちゃんが少し笑った。

 それをみて佑紀乃も自然と笑みが溢れだしていた。


——自分の良さ、自信か。人に言っておいて、自分は自分のこと分かってんのかな……


 ふと思い出しそうになった過去の光景に、佑紀乃は急いで蓋をした。

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