第7回:食事シーンを書いてみよう
「それでは第7回の講義、はじめまーす。前回の宿題覚えていますかー。『食事シーン』を書いてきてください、でした。SFでも過去でも異世界でも構いません。食事シーンを書くことは良いトレーニングになります。食事シーンの中には主人公の生活が詰まっています。例えば独りでご飯を食べるのか、必ず誰かと一緒に食べるのか。食事内容に凝る人なのか、ラフに済ませるのか。使っている食器などからも生活水準が窺えます、食材もです。このように食事シーンの中に書きたい時代の設定、キャラクターの設定などの情報を盛り込むのです。それによって読者はその世界をより深く知ることができます」
ついに講義も後半戦を迎え、生徒達もそれなりにこの講義に馴染んできていた。
しかし、そんな講義も全くと言っていいほど耳に入らない人物が一人。
「…………」
佑紀乃はただぼーっと前を眺めながら、ペンをいじったり、小さくため息をついたりしていた。
「……それでは今日の講義はこれで終わりまーす」
カンナがメガネちゃんの元へ走り寄った。
「ねえメガネちゃん! この後暇? あんたのハッピー、あたし達にも分けてくんない?」
メガネちゃんはにっこり微笑んだ。
「いいですよ。ほんとは溝端君が迎えに来てくれるって言ってたんですけど、今日はひょっとしたらみんなでご飯食べるかもって言っておいたんで」
「おいおい、マジかよ。いいのか? そんな大事な時期にこんなチリチリなんかと一緒に過ごすことになって」
「いいんです。彼とはいつでも会えますから」
カンナが肘でメガネちゃんの頭をつついた。
「さっすがー、ラブラブの余裕。やるねぇ、ゆきりんも行くっしょ?」
「……え、ああ。そうね、行こうかしら」
いつも点いている電球の一つが消えてしまったような佑紀乃の表情。メガネちゃんはそれを一瞬だけ確認してから、視線を落とした。
カンナはそのまま不死川にも声をかけた。その後、スキンヘッドがこくりと頷く。
初めてだった。
佑紀乃にとってこんなにもパーマン宅に行きたくないと思ったのは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます