大事な相談

 メガネちゃんは辺りをはばかり、人がいないことを確認した。


「実は私、書いて来たんです。お話」

「そうなの? だったら……」

「いや、でも……私ってほんとダメなんで。見せたら絶対にバカにされると思って」


 そう言って手をもじもじさせた。


「そんなことないって、大丈夫だよ」

「はい、ゆきりんさんなら大丈夫かなって思って。ここに入ってるんですけど、読んでもらえませんか?」


 そう言ってメガネちゃんはピンクのUSBメモリーを差し出した。


「いいよ、時間があるときに読ませてもらうわ」

「あの……できたらでいいんですけど」


 メガネちゃんは恥ずかしそうに俯いた。


「明日までに感想聞かせてもらえませんか? もうそれ以上後になると、どう思われたのかドキドキして耐えられないんです」

「明日まで? ……まあいいけど」


 メガネちゃんの顔がパッと明るくなった。


「ほんとですか? 嬉しい、ありがとうございます! ゆきりんさん大好き!」


 突然メガネちゃんが佑紀乃の胸に抱きついた。


「ど、どうしたの? いいよ、これくらい」

「はい、じゃあ明日の昼、駅前のピアットでランチご一緒しません? 私が奢りますよー」

「いいって、これくらい。じゃあ明日12時ね」


 嬉しそうに、ニコっと笑ってから帰っていくメガネちゃんの後ろ姿。それを眺めながらも、佑紀乃はまだ知らなかった。自分の引き受けてしまったことのその重大さに。

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