好きな人
「なかなか好印象だったよ、あの子達」
「ムリムリムリムリです。わ、わたしなんかと溝端君、釣り合うわけないですから。だって彼、勉強も出来るし、スポーツも万能。クラスの女子からの人気ナンバーワンですから」
「でも……好きなんでしょ?」
佑紀乃に顔を覗き込まれ、メガネちゃんはわずかに、こくりと頷いた。
「だったら……」
「無理です、絶対! 私なんかと……だって私パッとしないし、何やっても失敗ばかりだし、良いところなんて一つも無いしそれに……」
カンナがドレッドヘアを指でくるくるしてから、パッと離した。
「そんなのさー、やってみないと分かんないじゃん。世の中色々物好きもいるしさー」
佑紀乃がメガネちゃんの黒髪を、さらりと撫でた。
「私ね、前から思ってたんだけど、メガネちゃんは服とか髪型とかうまくやればもっと可愛くなると思う」
「あとはリュックは軽くな、次は死人が出るぞ、マジで」
あ、と言いながら、やっと背負っていたリュックをどさっ、と降ろした。
不死川が皆の会話を聞きながら何かを言いかけたが、その言葉をぐっと飲み込んだ。
「わたし、ほんっとダメなんです、色々と……」
「あのね、メガネちゃん。全ては自信から始まるの。自分を信じること、誰が何と言おうと自分が最高だって思い込むこと。そこから全ては良い方向に向かうんだって、この前読んだ本に書いてあった」
「でも、わたし……」
パーマンが天を仰いだ。
「自信、か……」
それから、あ、と何かを思い出したかのように呟いた。
「メガネちゃんってもう成人だよね? あさって暇? 俺にちょっと考えがある」
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