閑話休題

闇に浮かぶ二つの光 2

 ちょうどその頃、とあるマンションの一室では暗闇に浮かぶ二つの目があった。

 PCの明かりをじっと睨みつける鋭い眼差し。

 それはまるで獲物に飛びかかろうとする野獣のよう。

 昼間の優しい顔からは想像できないほどの冷酷な目。

 その目を微動だにさせず、キーボードを打つ。


 カタカタカタカタ……


 画面には多数の文字が映し出される。

 それをもう一度見直す。

 そして……しばらくすると、


「あーーーーーーーーーーーーーーー!」


 突如けたたましい叫び声とともに、キーボードが、バン、と叩かれる音。


 男の息が上がっていた。

 はあ、はあ、と息を吐く度にディスプレイが曇る。

 その鋭い眼差しだけは変わらずじっと光を見つめていた。


——まただ、またダメだ。


 声にならない叫びが、静かな闇の中響いていた。

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