帰り道
結局その後、気まずくなった佑紀乃とメガネちゃんは、テーブルの上やキッチンなどの後片付けをしてから、パーマン宅を後にした。
帰り道、二人は駅に向かって歩いていた。
「ねえ、どう思う?」
「どうって、さっきの話ですか?」
「そう。私最初パーマンの話聞いてたら、確かにそうだなー、って思ったんだけど、カンナちゃんの話聞いても、確かにそうだなー、って思っちゃった」
メガネちゃんは腕を組み、考えるポーズをした。
「そうですよね、でも私はやっぱり自分の好きなことやりまーす、なんてできないと思います。その後の周りの目を考えたら、怖いです」
「確かにそうよね。でもきっと彼が病院を継がなくても、きっと世の中はそれなりにうまく回っていくんだよ。お父さんは悲しむかもしれないけど、時間が経てばきっとみんな忘れる、実際に弟くんなんかはさっさと逃げちゃったわけでしょ?」
「はい、確かに」
「なんだかんだ周りに左右されているようで、実はやっぱり自分で選んでるんだよね、人生って結局」
バスロータリーに着いた頃、ちょうどメガネちゃんの乗るバスが待っているところだった。
「それじゃあゆきりんさん、おやすみなさい」
「おやすみー」
そう言って手を振りながら、佑紀乃はさっきの自分の言葉を反芻していた。
——結局は自分で選んでいる、か……この人生もね。
抱えきれない重たい荷物を全部置いて、逃げ込んだこの街。何かを変えたいと思って飛び込んだこの街での人生も、結局は自分で選んでいるということなんだよな、そんなことを佑紀乃は考えていた。
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