家でパーティ
「イエーイ、なんか、たっのしーね!」
——この娘、いつもハイテンションね。よくエネルギー尽きないわ。
佑紀乃はすっかり暗くなった道を、メガネちゃん、カンナ、パーマンと4人で歩いていた。
パーマンの家までは歩いて10分程度とのことで、歩いて行くことにしたのだ。途中のコンビニで食料を調達することにしている。
隣のメガネちゃんがふと声をかけた。
「佑紀乃さんって、家でパーティとかするんですか?」
「いんや、こんなの大学生以来かな。なんか懐かしいね、昔はよく宅飲みって言って、誰かの家でよく食事食べてたな」
「私、今でもたまにします。節約にもなりますからね」
もうすっかり日も落ちた闇の中、先頭を歩くカンナはどこの国かも知らない踊りを踊りながら進む。そんな姿を見ながら佑紀乃は、あんな人も昔いたよなー、と懐かしんでいた。
「あっ! 着いたよ、ニコマート。よーーーっし、買うよ〜 もちパーマンのおごりでね〜」
と声をあげながら店内に入って行った。
「は? 誰が奢るか。きちんと割り勘な。あ、メガネちゃんの分は俺出すよ」
「え? パーマンさん、いいんですか?」
「いいよ、だって学生だろ? っていうかパーマンさんって、何とかならねーの?」
佑紀乃も思わず、そうそう、と続けた。
「私もさ、ゆきりんさんって。どうせならゆきりんでいいよ」
はっ、と口に手を当て、メガネちゃんは赤面した。
「そうですね、でも私昔から『さん』ってつけないと落ち着かないんです。だってほら、パトリック・チャンもパトリック・チャンさん、アグネス・チャンもアグネス・チャンさんですよね。やっぱ呼び捨ては……」
まあ、好きなようにしろや、とパーマンもカンナに続いてニコマートに入った。
……しかしその直後、顔色を変えて、走って外に出て来た。目がまん丸に見開いている。
「どうしたんですか? パーマンさん」
パーマンは、我に帰り、呼吸を落ち着けた。それから、目をパチクリさせて、
「今、信じられないものを見つけてしまった」
と呟いた。
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