第5話 おねしょ編3

私は、男の子の手をとり、風呂場まで連れて行った。

男の子のパジャマの下半身部分は、かなり濡れていた。


お漏らしの実物を見たのは、相当ひさしぶりなのだが、

こんなにも濡れるものなのかと驚いた。


私は、特にお漏らしには言及せず、

「お風呂ひとりで入れるかな? 大丈夫?」

とだけ伝える。

ひとまず、汚れた部分を洗いきることが大事だ。


「うん……」


男の子は元気ない様子で答える。

お漏らしまでして、私に見られてしまっているのだから、

その恥ずかしさは相当なものだと思われる。


男の子のしょげた姿がかわいい。

もっと困らせたい……。

いたずら心が顔をのぞかせる。


「ふふふ。脱ぐのだけ手伝ってあげようか?」


「い、いいよ! 自分で脱ぐから」


「遠慮はしなくていいのよ」


「わっ……」


私は、男の子の服のボタンに指をかけ、ひとつずつ外していく。

少しだけ胸元が見える。わぁ、ぜんぜん筋肉がない。


男の子は無言になり黙ってしまった。抵抗する様子は見られない。

ふっふっふ。そのまま脱がしてもいいのかね?

ぜんぶ見てしまってもいいのかね?


あっ。私そろそろ危ないな。

危ない欲望を寸前で抑え込む。

私は、男の子の服から、ぱっと指をはなした。


「そういえば、お着替えがないね。

 私が用意しておくから、あとは自分で脱いで、お風呂に入っててねー」


男の子の着替えをとるべく、私は、風呂場をさっさと出る。

あぶないあぶない。

また変なことをして、泣かせるところだった。


心の中で反省して(しかし反省になっていない)

タンスから着替えを用意する。


さて、着替えをとって戻ってくると、シャワーの音が聞こえる。

男の子がお風呂に入っているようだ。


「ここに着替えおいておくねー」


私は、風呂場にむかって、声を届ける。

男の子は特に反応を示さなかったが、

まあ大丈夫だろう。


そのままここで、男の子を待ち続け、

お風呂から出てきた姿を凝視してもよかったのだけど、

そういうことすると、また泣いちゃうかも。やめとこう。


そんなことより、次は、あの汚れたベッドを掃除しないと……。

こうして、朝から結構な労働をこなすのだった。


つづく

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