第44話 Gathering
ゴールデンウィーク。
幸太と美戸は多摩湖に来ていた。幸太はゴールデンウィークは毎日美戸とポタリングに行けると思っていたが、現在大阪に単身赴任している母に呼び出されて明日から大阪に行ってしまうとのこと。
「大事な用があるんだったら、向こうから来れば良いのに。」
ぼやく美戸としょんぼりする幸太だった。
「おーい。
リンに声をかけられた。有子も一緒だ。
「あんたたちも来たの?」
「リンちゃんもポタリング?」
「いや、私とユウはデート。」
「誰と誰がデートよ!」
有子がつっこむ。リンと一緒にいるようになってから、有子は少し明るくなってきたようだ。
「なんだ、お前たちも来てたのか?」
養護教諭でありポタリング部の顧問でもある一美が彼氏とBrompton でやって来た。
「先生たちはデートですか?」
「そ、多摩湖一周してカフェ行ってパン買って帰る。」
「幸ちゃーん、来てたの?」
今度は幸太の両親までRootone に乗って現れた。
「お母さん、すごいね。坂上がって来れたの?」
「まさか、脇の駐車場までクルマよ。」
美戸と
「久しぶりね、小娘。」
「どちら様でしたっけ♡」
二人の間に火花が散った。
その様子を見て、あ、幸太の彼女はこの娘なんだな。瞬時に理解した裕太であった。
裕太は一美の彼氏とお互いの自転車に試乗して、こういうのも良いなと呟く。
なんやかんやで時間が過ぎて、
「君たち、お昼はどうするんだい? よかったらご馳走させてくれないか?」
「やった!」リンは遠慮なく答えた。
「私たちはこれから多摩湖を回るつもりですので、これで失礼します。」
「あ、そうですか。デートの邪魔をしてすみませんでした。」
一美と彼氏はBrompton に乗って堰堤の向こうへ走って行った。
一行は近くのファミレスに行こうと新青梅街道まで戻った。
幸太達と裕太と祥はちょっと離れた別のテーブルについた。祥は不満そうだったが、幸太は今日は友達と一緒なんだからと裕太に言われて渋々従った。
「何でも好きな物を頼みなさい。食べ終わったら先に出ていいよ。幸太、伝票を持って来てくれな。」
幸太のテーブルの女の子たちが結構遠慮なく色々食べたり、何度もドリンクバーに行っているのが見えた。
「若いって良いわね。」祥は苦笑した。
食べ終わった幸太が伝票を持って来た。
「お父さん、ありがとう。ご馳走様。」
その時、美戸が裕太と祥のテーブルまで来てぺこりと頭を下げた。
「ご馳走様でした。」
「うちの息子をよろしくね。」
裕太は美戸に向かって微笑んだ。ああ、お父さんは普通の人なんだな、お母さんはアレだけど。美戸は思った。
幸太くんはご両親に愛されているんだな。ほんわかとした美戸なのでありました。
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