第14話 Encounter
今日も今日とて幸太はペップで登校して来た。廊下をペップを押して歩いていると部室の灯りがついている。いつものように美戸はすでに来ているのだろう。幸太は、「おはようございます。」と言ってドアを開けた。
そこにいたのは、着替え中の美戸だった。アクアブルーの上下の下着姿の美戸と目が合う。美戸は脱いだシャツで体を隠すと、顔が赤くなってわなわなと震え始めた。
「すいませんでしたっ!」
幸太は慌ててドアを閉めた。やってしまった、ドアをノックするのをうっかり忘れた。
ちょっとすると、美戸が部室から出てきた。幸太が謝ろうとすると、プイっと横を向いて急ぎ足で行ってしまった。授業まで時間がない。謝らなければと思いつつ、とりあえず自分の自転車をしまって部室の鍵をかけて教室に向かう幸太だった。
美戸先輩きれいだったな。肌は抜けるように白くてアクアブルーの下着がよく合っていた。小振りなふくらみもシャツで隠せなかった足もきれいだったし、赤くなった顔も羞恥で震えているところも可愛かった。あの一瞬で隅から隅まで美戸を観察して心に永久保存した幸太だった。後で美戸に謝らないと、許してもらえるかどうかを心配するより先に美戸の下着姿が頭に浮かんでしまう。幸太はにやけた笑みを浮かべながら授業をうわの空で聞いていた。
「佐藤、顔色が悪いぞ。保健室に行かなくて大丈夫か?」
先生に声をかけられた。幸太は我に返った。
「すみません、大丈夫です。」
元々、病弱な幸太は女の子にあまり関心がない。グラビアやアニメ、漫画の女の子に熱を上げることもないし、年頃の少年が興味を持つような本やビデオを見たいと思ったこともない。ましてやクラスメートなどの身近な女の子には全く興味がないのであった。美戸はあくまで例外なのだが、それは幸太の心身が少しずつ成長し、健康になっている証拠なのかも知れない。
放課後、幸太は部室に行った。灯りがついているから、美戸は中にいるらしい。幸太はドアをノックした。
「、、、、、どうぞ。」
不機嫌そうな声で返事が返って来るまでの数秒が幸太にはとてつもなく長く感じられた。
「すみませんでしたっ!」幸太は美戸の前に立つと深々と頭を下げた。
「ドアを開ける時は必ずノックして。次は許さないわよ。」
「はいっ!」幸太が顔を上げた、その瞬間
「痛いっ!」
美戸のデコピンが幸太に炸裂した。しょうがないなー。美戸は苦笑いした。そもそも鍵をかけずに着替えをしていた自分も悪いのだ。
何とか許してもらえた幸太だったが、それからというもの、美戸は幸太の夢にちょくちょく現われるようになった。もちろん下着あるいは何も着ていない姿で、幸太を甘く誘惑してくるのである。学校にいる時も家で寝ている時も幸せな幸太であった。
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