魔王蹂躙④
それからミステアの家に戻ると、賞金は手に入れられなかったが、
彼女から大きな皮袋を手渡される。
「いやー…。中々に爽快だったよ、これは礼だ」
満足げに手渡された皮袋には、金貨が敷き詰められていた。
そして、あの時に言ったお願いとやらを話す。
「さて、それじゃ本題ね」
ちらりと妹を見ると、先程の結果が不満なのか、ハムスターのように
頬を膨らませてむくれている。
そんな妹を他所に、ミステアの話を俺は聞く事にした。
「君達に父を倒して欲しいのよ。
ここの冒険者達何時まで経っても、回り道してさぁ…」
「へ?」
「父を倒して欲しい。聞こえなかった?」
「親父を倒せってどんな…」
突然、眉間にシワを寄せて彼女は立ち上がり、
テーブルを叩いて怒り出す。
「あの馬鹿親父…、世界を滅ぼす滅ぼすとか言って、
城から居座って出てこないのよね」
「は、はぁ…」
「変な拘りあるみたいで、英雄とやらに倒されたいみたいなの。
馬鹿だと思わない?」
「あ、あぁ…破滅願望…かな?」
それを聞くと、マコトが立ち上がり、何処に住んでいるのか、
それを尋ねると、ミステアが地図をテーブルに広げる。
「此処の大陸から、海を隔てた大陸の此処よ」
「おっけー!」
え? マコトが地図上の目的地に左手を当てて、何か。
「えーと確か…。転送術…」
「あー。それでいっちゃう? それならこれよ」
え? 二人して何を企んで…何か二人してごにょごにょ。
「うんOK。んじゃ早速。
夜空に輝く星々よ、虚空通りて地を穿て!」
「わぉ。イクス・メテオール!!」
いやまておい!!! 何処で何使って!? こんな街中で明らかなメテオくさい
それを使うんじゃ…あーっ。死ぬ。死んでしまう!!
慌てて、机の下に隠れるが…。
「えい。テレポート」
「へ?」
使った魔法が落ちてこない。何故? と、机の下から顔を出すと、
ミステアがお腹を抱えて笑っている。
「あは…あははは! 禁術に転移とか、天才よアナタ」
「えへへ、後は言われた通りの紙も送っといたよー」
え、えぇ…。本来なら降り落ちてくる隕石群か何かを、
別の大陸にピンポイントで降らしたのか?
キ○ガイに○兵器じゃなくて、キ○ガイにICBMだった…。
とんでもねぇコンビが目の前で誕生した気がする。
その直後、家が崩れるかと言うほどの地鳴りが起こり、
街の方から火の手が上がる。
あ、やっぱ隕石落ちたんじゃ? と、慌てて外に出て見ていると…。
「くるぁぁああああっ!! 我が城に隕石落としたクソはどこだぁぁああっ!!」
山とも思える巨大な男が、街に巨大な影を落として激昂している。
「あ、あああ」
言葉がうまくでず、彼を指差しつつ、ミステアを見ると、
彼女は笑顔で父だ。と言う。
これ、どうすんの? と、思いつつも妹達と街中へと行く事になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます