Finale

epilogue 留守番電話

 秋晴れの空が優しく見守る、とある平日の昼下がりのこと――。




 リリリリリリリン。リリリリリリリン。リリリリリリリン。リリリリリリリン。リリリリリリリン。リリリリリリリン。リリリリリリリン――。


 黒電話がいつまで鳴り響こうと、その受話器が上がることはない。その代わりに、黒電話から聞こえてきたのは、既に録音されているはきはきとしたよく通る、どこか嬉しそうな声。


「お電話ありがとうございます、ツキナギ代筆です。月凪は不在のため、ただいま電話に出ることができません。ピーッという音の後にご用件を――」


 恐らく、その声の主である少女は。無邪気な笑い声に包まれた、仕事とはまた違う愉しい時間を過ごしていることであろう。

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