第204話
ラバンニアル共和国へ入国した。
入国と同時に、メインクエスト達成した画面が表示された。
続けてメインクエストが発生した内容は『
(一日、一種類以上か……)
移動時間や、
すると、続けて『サブクエスト発生』の表示が二つ目の前に現れた。
すでにサブクエストは一つあるが、サブという名前からして選択肢は自分だからこそ、状況に合わせて新しいクエストが発生するのだと、自分を納得させる。
一つ目の内容は『バビロニアの骨董市で骨董品の購入。期限:一年』『報酬(観察眼強化)』だったが、報酬の観察眼強化は以前にもあった。
自分では今ひとつ実感がない報酬だったため落ち込むが、クエスト自体は達成できる内容なので、いずれ達成するだろうと考えていた。。
二つ目は『瀕死の重傷を負う。期限:三年』『報酬(全ての能力値:一増加)』。
(一歩間違えば、死ぬってことだ)
報酬は魅力だが戦闘していれば、いずれは瀕死になることもある。
積極的にするクエストではないと判断する。
(バビロニアへ向かえってことか……)
自分の意思でバビロニアへ向かっているつもりでも、きっかけは自分のスキルだ。
今回もスキルに導かれるように……いいや、スキルの思惑通りに進まされることに、リゼは不快に感じるようになっていた。
馬車は、なにごともなく順風満帆に進み、エルガレム王国との国境近くにある”ルーブイユ”という町に到着する。
ここが終点なので、リゼは馬車を下りた。
この後は宿屋で体を休めるも、馬車の中で寝るのも自由だ。
ただし、馬車での宿泊は明日には出発するので、今晩のみだ。
順調すぎて予定よりも、かなり早く到着したのでリゼは町を散策する。
あと数日もすれば迷宮都市バビロニアに到着するので、物価が高いバビロニアでなくルーブイユで出来るだけ調達をする。
町を散策すると、言葉に出来ないがエルガレム王国となにか雰囲気が違う。
大きな町では無いので三十分もすれば一通り、町を散策し終える。
冒険者ギルドを発見したので迷わずに建物に入る。
多くの冒険者が建物内で談笑をしていた。
(クエストを待っているのかな?)
昼くらいに新しいクエストがクエストボードに貼られるので、ここにいる冒険者たちは待っているのだとリゼは理解した。
だが、テーブルに座っているパーティーたちは作戦会議などをしていることや、クエストボードに貼ってあるクエスト用紙の数からも、すでに新しいクエストが貼られたのだと知る。
建物の大きさや、冒険者の数からみてオーリスの冒険者ギルドと同等か、それ以上だ。
見慣れない冒険者に慣れているのか、リゼを気にする冒険者は少ない。
情報を収集しようとしたリゼはクエストボードの前で暫く立つ。
エルガレム王国には生息しないのか魔物図鑑でしか見たことが無い魔物がいた。
「リゼちゃん‼」
突然、自分の名前を呼ばれたリゼは驚く。
初めて足を踏み入れた町に知り合いなどはいない。
だが、振り返るとそこには懐かしい顔があった。
「アイリさん‼」
思わぬ再会にリゼは驚く。
「新しいギルドって、ルーブイユだったんですか?」
「そうなのよ。でも、リゼちゃんがリーブイユに来るなんて、夢にも思わなかったわ」
「はい、このあとバビロニアに行く予定です」
「そう……」
アイリの表情が曇る。
「その……銀翼のことは残念だったわね。大丈夫?」
言葉を選ぶようだった。
「私なら大丈夫です。私も二代目銀翼ですから」
「二代目銀翼……そう、銀翼に」
アイリの表情は穏やかになる。
自分の記憶にある幼かった冒険者が今、一人前の冒険者となって目の前に現れたことを嬉しく感じていたのだ。
「アイリ義姉さんの知り合いかい?」
「フルオロ」
フルオロと呼ばれた冒険者は大声で叫び、走り出したアイリを心配していたようだ。
「この人は夫の弟で、この町の冒険者フルオロ。こちらは私がオーリスで担当していた冒険者のリゼちゃん……じゃなくてリゼよ」
「アイリ義姉さんの元担当冒険者か。俺はフルオロ、よろしくな」
「よろしくお願いします」
「リゼはレベルいくつなんだい?」
「レベル?」
リゼは聞きなれない言葉に戸惑う。
「あっ、ごめんね。バビロニアで最近、流行っているらしくて冒険者ランク以外で、自分の強さを証明する手段として使われているらしいの。ステータスを合計した十分の一の値をレベルって呼んでいるのだけど、別に教えなくても大丈夫よ」
「あぁ、そうか。たしかにバビロニア周辺でしか流行っていないかもな。失礼した」
「いいえ」
エルガレム王国ではステータスや、スキルを口外することは無い。
だが、国が違えば考え方も違うことにリゼは驚きながらも納得していた。
自己申告だがレベルを聞けば、仲間を集めやすいメリットがある。
特にバビロニアでは、その日にパーティーを組んだりすることも多いと聞いたことがあるので、そのなかで生まれたアイデアなのだろう。
事前に知ることが出来たことはリゼにとってありがたいことだった。
ただ、バビロニアで聞かれた時に、リゼは答えるべきかを考えていた。
「リゼ。今晩は宿に泊まるの?」
「まだ決めていません。バビロニアに出ている馬車を確認してから決めようと思っています」
「バビロニア行きなら、三日に一度だから……明日の朝一で出るわよ」
「そうですか。それなら馬車で一泊しようと思います」
「そう。治安はオーリスと同じくらいだから大丈夫だと思うけど、気を付けてね」
「ありがとうございます」
「ゆっくり話をしたいけど、まだ仕事が残っているからゴメンね」
「いいえ、気になさらずに」
「フルオロ。暇だったら、リゼの相手をしててくれる」
「暇じゃないんだけど……まぁ、いいよ」
アイリの優しさだろうが、リゼは自分の思いとは別に話が進んだことに困惑するが、アイリの優しさを無下にも出来ないのでフルオロと話をすることにした。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十六』
『魔力:三十』
『力:二十二』
『防御:二十』
『魔法力:二十一』
『魔力耐性:十六』
『敏捷:八十六』(二増加)
『回避:四十三』
『魅力:二十四』
『運:四十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・
・報酬:転職ステータス値向上
■サブクエスト
・防具の変更。期限:二年
・報酬:ドヴォルグ国での武器製作率向上
・バビロニアの骨董市で骨董品の購入。期限:一年
・報酬:観察眼強化
・瀕死の重傷を負う。期限:三年
・報酬:全ての能力値(一増加)
■シークレットクエスト
・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
・報酬:万能能力値(五増加)
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