冷却魔法使用時のマナ観測実験

 冷却魔法使用時に消費されるマナの行方を調べるべく、下記の実験を行った。

  ・鉄製の床の上、直径4mの鉄製ドームを設置。半球頂点にマナを通すための穴を開けた。鉄は魔導率が非常に低いため、床と側面からの流出は無視できる。

  ・冷却魔法の使用者と、ターゲットにする適当な鉱石をドームに収容する。ドーム外側から、空間魔法の熟練者が異空間へ流れるマナを調べる。ドーム頂点には最高級火石を配置し、水銀温度計で温度を測る。


 実験の結果、火石の高温化が確認できた。恐らく、冷却魔法で奪った熱量と一致することが期待される。

 よって、冷却魔法を使用すると高エネルギー状態になったマナが使用者の拘束を抜けて漏出することが判明した。



<補足>

 火石は天然魔導具の一つである。マナを流すと熱を発する。発熱量はマナのエネルギー量と(光損失と)釣り合う。より小さく最大発熱量が大きいものほど高級とされる。使用を続けることでやがて割れる。割れても使用できるが、最大発熱量の和は元のそれよりも大きく下がる。枯れ草も燃やせない小粒になって庶民の手に渡るが、それでも冬の暖にはなる。灰状にまでなったものは税の代替として納めることができ、高級建材に使用される。

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