第3章「新星の秋」

登場人物一覧(第3章)

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【高一族】

高重茂こうのしげもち<弥五郎>

主人公。高師重の五男。大和権守。武蔵守護。

兄・師直と共に、足利氏の家政機関の中心たる高一族の後継者候補として育てられたため、役人として優れた手腕を発揮する。

武においても十分な腕前を持つが、なぜか戦においては功名に恵まれず、思い悩むことになる。

融通が利かないところがあるものの、自分の役割に律儀なところから、本人の気づいていないところで評価されることが多い。

一度見聞きしたものを容易に忘れない驚異的な記憶力を持つ。


高師直こうのもろなお<五郎>

重茂の兄。高師重の四男。

長兄・次兄の死後、高一族の惣領となるべく育てられ、足利氏の執事として辣腕を振るう。

文武ともに秀でた傑物だが、滅多に感情を表に出すことがなく、周囲からはやや恐ろしげに思われている。


高師泰こうのもろやす<四郎>

重茂の兄。高師重の三男。

長兄・次兄が存命の頃は父から気にかけられず、執事としての教育を十分に受けずに育った。

自由奔放かつ掴みどころのない性格の持ち主で、武においては兄弟随一の実力を誇る。

知恵も回るが、しばしば周囲を振り回す形で発揮されることが多く、重茂からはよく小言を喰らっている。


高師久こうのもろひさ<弥四郎>

重茂の弟。高師重の六男。

戦乱の中で頭角を現し始めた高一族期待の若者。将として天性の才覚を持っているのか、戦で度々功績を上げる。

やや単純ながら素直で一本気。それぞれ優れたところのある兄たちを慕っている。

湊川の戦いの後、後醍醐天皇に同心した延暦寺との戦いで戦死した。


高師重こうのもろしげ

重茂らの父。かつて足利氏の執事を務めていた。

己の職務と足利氏を第一とする忠臣。ただ、その分だけ子どもたちとの時間は作れずにいた。


大高だいこう重成しげなり<次郎>

重茂らの又従兄弟。

凄まじい大力の持ち主で、和歌にも精通しているという文武両道な男。

やや世間体を気にしやすいところがあり、恥をなによりも嫌う。


みなみ宗継むねつぐ

重茂らの又従兄弟。

若年の頃から才覚を発揮し、周囲の期待を一身に受けて育った。

己の実力を鼻にかけることなく、他者への気配りを欠かさないため、家人や郎党から慕われている。


高師秋こうのもろあき<太郎左衛門尉>

重茂らの従兄弟。師冬の兄。

重茂・師久とは一時期共に過ごしており、気心の知れた間柄。


高師冬こうのもろふゆ<四郎左衛門尉>

重茂らの従兄弟。師秋の弟。

重茂・師久とは一時期共に過ごしており、気心の知れた間柄。


治兵衛じへえ

高氏に古くから仕えている古参の郎党。声がでかい。

重茂にとっては事実上の父親のような存在。


あおい

重茂の妻。南宗継の姉。

武芸の腕前は並の男を凌駕する。


椿つばき

師久の妻。




足利あしかが一族】

●足利尊氏たかうじ

高一族が仕える足利氏の惣領。

嫡男であった兄・高義と父・貞氏の死後、後醍醐天皇に従って鎌倉幕府を打倒し、多大な恩賞を得る。

後醍醐天皇に恩義を感じているが、戦乱の中で生じた行き違いにより決別。心ならずも後醍醐と敵対する道を選ぶが、心の中で和解の可能性を捨てきれずにいる。


●足利直義ただよし

尊氏の同母弟。

鎌倉幕府打倒後に鎌倉の地を後醍醐から任されるも、鎌倉幕府の残党・北条時行に敗北。

救援に駆け付けた尊氏の身を案じるあまり、尊氏と後醍醐の行き違いを起こさせてしまい、二人の決裂を招くことになる。


新熊野いまくまの

足利尊氏の子。鎌倉の東勝寺で僧となるべく育つ。


●足利千寿王せんじゅおう

足利尊氏と赤橋登子の間に生まれた子。

足利氏の東国支配の要として、幼少ながら鎌倉の主となる。


仁木にっき義長よしなが

足利氏の支流・仁木氏の武将。頼章の弟。


●足利(斯波しば高経たかつね

足利氏の支流・尾張足利氏(後の斯波氏)の惣領。

足利宗家に匹敵する家格を誇りに思っている。


●足利(斯波)家兼<彦三郎>

高経の弟。事を為すには全力をもってあたるべし、という信条を持つ。

高経ほど家格に誇りを持っているわけではない。非常に頑固な一面がある。


●足利(斯波 又は 志和)家長いえなが

高経の子。千寿王の補佐として、事実上東国を取り仕切る重責を負う。

足利一門のなかでも屈指の家格の身だが、周囲に対して礼を欠かさぬ好青年。


●畠山国清

足利氏の支流となった畠山氏の武将。


●足利(吉良)満義

足利氏の支流・三河足利氏の武将。吉良殿と呼ばれる。

三河足利氏は尾張足利氏同様、足利宗家に匹敵する家格。


一色いっしき道猷どうゆう

足利氏の支流・一色氏の武将。若くして出家しており、道猷は号。

多くを望まず静かな生活を送ることを願っているが、九州探題に任命され、同地で過酷な戦いに身を投じることになる。

桃井もものい義盛よしもり

足利氏の支流・桃井氏の武将。


●桃井直常ただつね

足利氏の支流・桃井氏の武将。直信の兄。

坂東武者らしくあろうと、日々鍛錬を欠かさぬ武人肌の男。


●細川定禅じょうぜん

顕氏の弟。建武の乱において、中国・四国地方で活躍し頭角を現す。

思い切りの良い性格で、臆することなく大胆な行動を取る。




上杉うえすぎ一族】

●上杉憲顕のりあき<平一郎>

上杉憲房の嫡男。清子の甥にあたるため、尊氏・直義とは従兄弟関係になる。

中肉中背かつ特徴のない顔立ち、加えて物静かなためあまり目立たない。

真面目な性格ではあるが、融通が利かないということはなく、周囲をよく見て適宜助言を与えることが多い。


●上杉重能しげよし<与次郎>

上杉憲房の甥にして養子。憲顕とは義兄弟、尊氏・直義とは従兄弟関係になる。

自尊心が高く皮肉屋だが、相手を問わず認めるべきところは認める一面を持つ。

高い教養を持つ知識人でもあるが、本人は武人としての活動に精を出している。


●上杉憲藤のりふじ

上杉憲房の子。憲顕の子。

快活で明るいムードメーカー。




【皇族・公家】

後醍醐ごだいご天皇

大覚寺統の天皇。

本来は兄の子が皇位を継承するまでの中継ぎだったが、それに不服を唱え、皇位継承に干渉する鎌倉幕府との戦いに踏み切る。

鎌倉幕府打倒後は親政を推し進めるも、諸国で反乱が相次ぎ、やがて足利尊氏の離反を招いて危機を迎える。

幕府打倒によって慢心していたが、尊氏との訣別によって心を改め、為政者として世を進歩させようと決意を固める。


義良のりよし親王

後醍醐天皇の皇子。北畠顕家と共に奥州統治の要となる。


尊澄そんちょう法親王ほうしんのう宗良むねよし親王)

後醍醐の皇子。比叡山延暦寺(山門)のトップである天台座主。

争いを好まず歌を愛する穏やかな性格だが、避けられぬ戦いであれば最後まで戦い抜こうという意志を持つ。


北畠きたばたけ親房ちかふさ

後醍醐方の重鎮の一人。


●北畠顕家あきいえ

親房の子。奥州の支配を任された鎮守府大将軍。


四条しじょう隆資たかすけ

後醍醐方の重鎮の一人。

自ら軍勢を率いて足利勢と対峙する武闘派。


●四条隆蔭たかかげ

光厳院の側近の一人。憲顕・重能の従兄弟である重藤の主。


二条にじょう良基よしもと

公家の頂点に立つ五摂家の一角・二条家の当主。

才気溢れる傑物としての片鱗を覗かせる。


千種ちぐさ忠顕ただあき道三どうさん

村上源氏の一流・六条氏の流れを汲む公家。

湊川の戦いの後、後醍醐に味方した延暦寺と足利軍の戦いにおいて、延暦寺として参戦。戦死した。


坊門ぼうもん清忠きよただ

後醍醐の側近の一人。




【寺社】

妙吉みょうきつ

時折重茂と鉢合わせする奇妙な僧。

僧として名をあげるため見識を深めようと、各地を渡り歩いている。


三宝院さんぽういん賢俊けんしゅん

日野家出身の醍醐寺の僧。

足利と持明院統を結び付ける等、京の政界で重要な働きをする。


善法寺ぜんぽうじ通清つうせい

石清水八幡宮寺の祠官。


●(仁木)頼仲らいちゅう

仁木頼章・義長の叔父。東国仏教の代表格である鶴岡八幡宮寺のトップ。


●(加子)弘賢

足利氏の支族である加子氏出身の僧。頼仲の弟子。



【武家】

北条ほうじょう時行ときゆき

鎌倉幕府の代表・北条高時の遺児。

幕府滅亡時に難を逃れ、以降、北条復興を目指す。


恵清えしょう(北条泰家やすいえ

北条氏の宗家出身。幕府が滅びる際、当主だった兄・高時の遺児である時行を逃がし、後醍醐天皇と戦い続けていた。


楠木くすのき正成まさしげ

河内の男。

後醍醐天皇に味方して鎌倉幕府と戦った稀代の戦略家。

冴えない風貌だが、紡ぎ出される言葉には不思議な力が宿る。

湊川の戦いにおいて戦死。


●楠木正季まさすえ

河内の男。正成の弟。

兄と共に鎌倉幕府と戦い抜き、後醍醐天皇の新政を支える。

湊川の戦いにおいて戦死。


●楠木正行まさつら

楠木正成の嫡男。父の跡を継ぎ、楠木氏の再興を誓う。


新田にった義貞よしさだ

後醍醐天皇と鎌倉幕府の戦いの最中、幕府に対し決起し鎌倉を陥落させた名将。

その後、後醍醐の建武政権で引き立てられるが、それが原因で後醍醐と対立した足利から名目上の討伐対象として指名されることになってしまう。


脇屋わきや義助よしすけ

義貞の弟。元々副将として義貞を支えていたが、彼が病がちになると大将代行として新田氏を実質的に率いていくことになる。


●新田徳寿丸とくじゅまる

新田義貞の子。父とは別行動を取っている。


佐々木ささき道誉どうよ

近江を拠点とする源氏の一族・佐々木氏の支流の出身。

元々は北条氏に近侍していたが、北条氏滅亡後は巧妙に立ち回り徐々に存在感を強めていく。


土岐とき頼遠よりとお

美濃を拠点とする源氏の一族・土岐氏の出身。

九州から舞い戻った足利氏に従うべく参陣した。

普段は真面目な性格だが……?


宇都宮うつのみや公綱きんつな

下野国を代表する大勢力・宇都宮氏の当主。


●宇都宮加賀寿丸かがじゅまる

宇都宮公綱の子。


芳賀はが禅可ぜんか

宇都宮氏が率いる紀清両党を指揮する有力武士。


曽我そが師助もろすけ

足利氏が後醍醐天皇から離反した際、付き従った相模国の武士。


薬師寺やくしじ公義きんよし

摂津国の拠点を置く薬師寺氏の一人。

高一族と深くかかわっていくことになる武将の一人。


河越かわごえ高重たかしげ

武蔵国の武士。坂東平氏の一角・秩父氏の流れを汲む。


●河越直重ただしげ

高重の子。派手好みなばさら武者。


高坂たかさか氏重うじしげ

河越氏同様坂東平氏の流れを汲む武士。

武芸を好む坂東武者の中にあって、珍しく文にも通じている。


山内やまのうち経之つねゆき

武蔵国の武士。北条氏滅亡後、同氏の影響下にあった領地に入部した新参領主。

勇猛果敢な武人だが、馴染みのない領地の経営に難渋する。


行珍ぎょうちん二階堂にかいどう行朝ゆきとも

官僚一族の一角・二階堂氏出身の武士。

人当たりの良い好々爺で、武士・公家問わず幅広い人脈を持つ。


太田おおた時連ときつら(信濃入道)

かつて鎌倉幕府創建に尽力した三善みよしの康信やすのぶの子孫。

仕事に厳しい鬼のような老人だが、その仕事振りは筋の通ったものであるため、周囲からの信頼は厚い。


長井ながい挙冬たかふゆ

かつて鎌倉幕府創建に尽力した大江おおえの広元ひろもとの子孫。

行珍・時連らと共に働く若手官僚武士。


伊勢いせ盛継もりつぐ

高一族同様、足利氏に仕える家人の一族の老人。


赤松あかまつ円心えんしん

播磨の武士。悪党・赤松円心入道として知られる。

後醍醐天皇と鎌倉幕府の戦いでは、後醍醐皇子・大塔宮おおとうのみやに従い、楠木正成らと連携しつつ六波羅探題を追い詰める活躍をした。


●赤松則祐そくゆう

赤松円心の子息。

戦乱の中で足利直義に殺害された大塔宮と親しかったため、一族が足利氏に従うことに複雑な思いを抱く。


島津しまづ貞久さだひさ

南九州の雄・島津氏の惣領。上総入道。

七十前後の身で参陣する古強者。足利氏こそ次代を担うと判断し、彼らに協力を約束する。


●島津師久もろひさ生駒丸いこままる

貞久の子。戦で功名を立て続ける高師久に憧れを抱く。

高師久の死後、師直から師久の名を授けられる。


大友おおとも氏泰うじやす千代松丸ちよまつまる

北九州の雄・大友氏の若き惣領。

父や兄を失い分裂の危機に陥った一族をまとめるため、足利尊氏の猶子となり、足利氏に味方することを決意する。


立花たちばな宗匡むねただ

氏泰(千代松丸)の兄。弟を支えながら一族の危機に臨む。


山名やまな時氏ときうじ

新田一族の山名氏出身。どこか愛嬌を感じさせる雰囲気の男。

足利氏に従って数々の武功を立て、次第に勢力を拡大させていく。


●山名兼義かねよし

時氏の弟。時氏の戦の才に全幅の信頼を寄せている。


道忠どうちゅう結城ゆうき宗広むねひろ

北畠顕家傘下の将。謀略にも長じた老将。


南部なんぶ師行もろゆき

北畠顕家傘下の将。軍勢の指揮に長じている。


伊達だて行朝ゆきとも

北畠顕家傘下の将。諜報活動を得意とする。




【市井の人々】

赤坂あかさか成村しげむら

河内の鍛冶師。

楠木正成に目をかけられていた縁もあって湊川に参陣するが生き延びる。


越智おち遠子とおこ

大和猿楽結崎座の先代・山田太夫の娘。

婿入りした当代・山田太夫との間に三子を儲ける。

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